1,800円以上の注文で送料無料

ソハの地下水道 の商品レビュー

3.8

6件のお客様レビュー

  1. 5つ

    1

  2. 4つ

    2

  3. 3つ

    2

  4. 2つ

    0

  5. 1つ

    0

レビューを投稿

2023/01/26

ホロコーストの嵐が吹き荒れるなか、14ヶ月にわたる劣悪な下水道生活を経て生き延びたユダヤ人たちと彼らを支えたソハの物語。虐殺の様子が生々しいのと、下水道生活で少しずつ壊れていくユダヤ人たちの様子がたまらなく痛々しい。極限状態に陥った時、人は変わる。もっとも人を変えたのは戦争だが。...

ホロコーストの嵐が吹き荒れるなか、14ヶ月にわたる劣悪な下水道生活を経て生き延びたユダヤ人たちと彼らを支えたソハの物語。虐殺の様子が生々しいのと、下水道生活で少しずつ壊れていくユダヤ人たちの様子がたまらなく痛々しい。極限状態に陥った時、人は変わる。もっとも人を変えたのは戦争だが。ギリギリの下水道生活よりもホロコーストの恐ろしさの方が怖くて震えた一冊。

Posted byブクログ

2021/10/14

ソハの話「連中がマンホールのふたをあけて、その下の至るところへ機関銃を乱射し、手りゅう弾を浴びせる。その間下水道には近づかない、俺たちは言われている。あちらさんは、生き残りがいないかどうか、あらゆるトンネルをめぐってパトロールもしたいと言っている。それは以前にもやった。火炎放射器...

ソハの話「連中がマンホールのふたをあけて、その下の至るところへ機関銃を乱射し、手りゅう弾を浴びせる。その間下水道には近づかない、俺たちは言われている。あちらさんは、生き残りがいないかどうか、あらゆるトンネルをめぐってパトロールもしたいと言っている。それは以前にもやった。火炎放射器を持ってトンネルの出口に立つっていうだけの話だが、誰一人逃げられやしない」その光景は誰が考えても恐ろしいものだった。

Posted byブクログ

2016/03/20

本屋で衝動買い。とてもぞくぞくする逃避生活の話だった。 14ヶ月の間、下水道内で生活するユダヤ人の話。ソハとはそれを手助けしたポーランド人。 最後に地上に出たあと、ソハが誇らしげに「俺のユダヤ人だ。俺が助けた」という様は、読んでいて私も誇らしく嬉しくなった。 それにしてもエピ...

本屋で衝動買い。とてもぞくぞくする逃避生活の話だった。 14ヶ月の間、下水道内で生活するユダヤ人の話。ソハとはそれを手助けしたポーランド人。 最後に地上に出たあと、ソハが誇らしげに「俺のユダヤ人だ。俺が助けた」という様は、読んでいて私も誇らしく嬉しくなった。 それにしてもエピローグ的に書かれている事故で死んだソハの葬式の時に、「ユダヤ人なんか助けた罰だ」と誰かが言った言葉は大いに考えさせられた。ポーランド人にも反ユダヤ死そうがあったのか、或いはソハにたいする当てつけか、いずれにせよ、物語の締めくくりとして本書をぎゅっとまとめているような言葉だと思った。単なるユダヤ人の迫害物語ではなく、いまを生きる人に何のために生きるのかを考えさせるような良書。星五つ。

Posted byブクログ

2014/08/13

地下に隠れたユダヤ人達を助ける事すなわち、ソハ自らの贖罪の意味があったようです。 ナチスによる蛮行を目の当たりにして、それまで悪事を重ねてきたソハの価値観は180度転換。 ユダヤ人を匿った者も処刑される状況下、途中、ユダヤ人達頼みの虎の子も尽きてしまったにもかかわらず、それで...

地下に隠れたユダヤ人達を助ける事すなわち、ソハ自らの贖罪の意味があったようです。 ナチスによる蛮行を目の当たりにして、それまで悪事を重ねてきたソハの価値観は180度転換。 ユダヤ人を匿った者も処刑される状況下、途中、ユダヤ人達頼みの虎の子も尽きてしまったにもかかわらず、それでもソハは彼らの為にベストを尽くす。 なかなか出来ない事です。

Posted byブクログ

2013/01/24

ナチス政権下のポーランド。ユダヤ人狩りから逃げ、地下の下水道に逃げ込んだユダヤ人家族。そこで地下水道で働くポーランド人ソハと出っくわす。ソハは、金品と交換に食べ物や地下での隠れ場所を提供し、ユダヤ人をかくまうことになる。 同名映画の原作。生き残ったユダヤ人たちへの取材と、関連する...

ナチス政権下のポーランド。ユダヤ人狩りから逃げ、地下の下水道に逃げ込んだユダヤ人家族。そこで地下水道で働くポーランド人ソハと出っくわす。ソハは、金品と交換に食べ物や地下での隠れ場所を提供し、ユダヤ人をかくまうことになる。 同名映画の原作。生き残ったユダヤ人たちへの取材と、関連する文献をたどり、彼らの生活を再現する。 壮絶な生活。その中で子どもまで産まれる。さすがにすぐに死んで(殺されて?)しまうが。 ソ連軍の侵攻で解放され、それそれ新しい生活を始めるユダヤ人たち。そして、ソ連の政治的体制を嫌ってアメリカへと旅立っていく。

Posted byブクログ

2012/10/15

先日見て来た映画の原作。これは実際に地下水道に隠れていたユダヤ人の人々に取材し、その記憶を再編成して作られた記録。 実際に起きた話を時系列に沿って書いているので、映画に比べてドラマチックさは少ないが、それでもホロコーストから逃れるために必死に逃げた人々と、自分の命を危険に晒しなが...

先日見て来た映画の原作。これは実際に地下水道に隠れていたユダヤ人の人々に取材し、その記憶を再編成して作られた記録。 実際に起きた話を時系列に沿って書いているので、映画に比べてドラマチックさは少ないが、それでもホロコーストから逃れるために必死に逃げた人々と、自分の命を危険に晒しながらも彼らを守り切ったソハの話には一気に引き込まれる。 映画の最後にテロップで流されるソハの最期には悲哀を感じたが、本書ではさらにその後に衝撃的な一言が書かれていて、偏見というものは、別にナチスだけが持っていたものではなく、誰もが抱えている根深いものなんだなと感じた。

Posted byブクログ