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水風景 の商品レビュー

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2024/08/12

「水」にまつわる色々な人の言葉がオムニバス形式でまとまった1冊。 「水」そのものというより、象徴としての水というか、水にまつわる文化や芸術、哲学的考察を期待して読んだが、 水って料理とか運動とか生きていくのに大事だよね、自然が豊かなところの水って綺麗で美味しいよね、といったあくま...

「水」にまつわる色々な人の言葉がオムニバス形式でまとまった1冊。 「水」そのものというより、象徴としての水というか、水にまつわる文化や芸術、哲学的考察を期待して読んだが、 水って料理とか運動とか生きていくのに大事だよね、自然が豊かなところの水って綺麗で美味しいよね、といったあくまで飲料や風景など実体としての水の話にとどまっていたり、 地球って水の惑星だよね、森を大切にしよう、といった凡庸な内容だったり、 人によっては、一応話の中に「水」を入れてるけれどそれってあなたの話の本筋じゃないよね?といったこじつけっぽい内容だったり、 全体的に内容が薄いコメントが多かったのが残念だった。 個人的に「水」関係にある程度関心があり、元々理系なので、バーチャルウォーターとか、硬水軟水の話とか、超撥水とか、知らない人が読んだらへぇ、と思う部分をすでに知っていた(新しい発見、それぞれの意味の説明以上の内容の深まりがなかった)こともマイナスにはたらいてしまったように思う。 ただ、この本を手に取った目的が、左官職人の挾土秀平さんの言葉が読みたかったからで、彼の水に対する向き合い方には哲学を感じてなかなか良かったので、一応目的は達成された。 左官の仕事は水と土を使った物作りで、土を塗っているというよりは水を塗っているという感覚を持っている、という。 「強い風を太刀で斬った時、水がこぼれる。 日の光を集めて燃やすと、金になる。 月の光を集めて凍らせると、銀になる。 枯葉を叩いて腐食させると、銅になる。 煙と雨で、鉄ができる。 それらはすべて土にかえる。」 この詩のような言葉が特に印象に残った。 新しい壁を生み出そうとするとき、自然の情景を見て言葉に変え、言葉が詩になっていき、壁が見えてくる、という。 また、シェフの山口浩氏の「水のフレンチ」、グラフィックデザイナーの原研哉氏の「川のシワ」、書家の紫舟氏の「道具の話」、写真家の石川直樹氏の「登山と水-1」あたりは、「水」に対する視点の切り口は興味をひかれた。ただいずれも、入り口に入ったところで話が終わってしまっていた(あるいは期待していたのと違う方向へ進んだ)のが惜しいなと感じた。 全体的に口語調で内容が薄めなのは、ラジオCMの内容を本にしたものということで、それはそれで致し方ない。 切り口としてはとても面白いので、寄稿型にしてもっと深い内容で読みたいと思った。 レビューブログ https://preciousdays20xx.blog.fc2.com/blog-entry-532.html

Posted byブクログ