アクエリアム の商品レビュー

森深紅【著】

2018/10/08

79：「ラヴィン・ザ・キューブ」や「安全靴とワルツ」と同じ方が書かれたとは思えない、幻想的で儚い閉ざされた学園生活もの。生徒たちの秘密、学園の秘密、世界の秘密。いったいどのくらいヴェールを脱げば「このリアル」に辿り着くのかと足下が不安になるような、そんな暗さと戸惑いに満ちた世界設定でした。
瞳子の行く末は、幼年期の終わりを暗示しているのかなあと思います。

2015/05/23

全寮制の閉鎖的な学園には、奇妙な決まりがある。
すべてにつけられた番号。
それは自分たちにもつけられたもの。
一体なんのために、どういう意味があるものなのか。

ホラーなのか、謎なのか、その間なのか。
自分たちにつけられた整理番号の謎は
すごく気にはなったのですが…長い。
次の段階に進むまでに必要だ、とは思うのですが
その説明が長くて、２部に行く前に
挫折しそうになってしまいました。

２部に行って、さらに分からなくなる謎と新しい謎。
一体学園は何なのか。
分かった瞬間、さらに分からなくなりました。
どういう事？　と思ったら…そういう事。
完全に、箱庭だった、という現実にぞっとします。

2013/03/05

雰囲気は悪くなかったんですけどね。どことなく漂うSF感とか自身の世界をとりまくミステリ要素とか外界から隔絶された女子高の寮みたいな舞台設定とか。
でもなんかこう「書ききれなかった」印象が強い。世界観先行で内容がそこまで至らなかったような。

最後に明らかになる「学園の秘密」も・・・まああれはあれでいいのかもしれないけど、自分好みではなかったです。幻想的でさえあったそれまでの世界観が冷めちゃったというか。うーん。

2013/02/20

痛みをその身に受けた人魚姫は、もう、どこにも行けない。

　閉鎖的な全寮制女子高校の話かと思ったら謎の暗号を解こうと頑張るミステリかと思ったら管理社会のなかで少女が自分とは何かを考えるSFかと思ったら外界への脱出をはかって湖を泳ぐ冒険小説かと思ったら百合だったでござる。みたいな本。作品を構成する要素や細かいギミックが大好きで、この作者わたしの脳内スキャンしたんじゃないだろうな……と感じた。『月のさなぎ』よりも謎解き成分が多くて、でも『雨の塔』より地面に足ついてる。書き足りていないのか目が滑ったのか、時々文章に違和感を覚えた以外は面白く読みました。
　百合小説として読むのが一番じゃないかな！　と思った。特にループもののにおいがぷんぷんするエピローグ。

2012/11/01

すごく面白かった！ 最初は特殊な女子校の秘密を暴いていく話かと思っていたけど、第２部になると、それがもっと大きな謎になっていった。瞳子や遊砂が何者なのか。それは私たちが自分で考えなくては分からない。その結末も良かった。

2012/09/06

トータルでヨンテンゴくらい。ゴニュウしてゴってことで。

面白かった！私こういうテイストの小説凄い好き。恩田陸しかり皆川博子しかり。

閉じられた女子校で生徒と、水族館の魚にふられた番号の共通性に気付いた主人公たちを巡る物語。
淡々としていて不安定で、でも感情的なのとは違ってどこか綺麗ですらあって、頁を捲る度にベィルを一枚一枚剥がしていくように秘密が明かされていって。

著者の別の作品も読んでみようと想います。

2012/09/06

読んだのが、夏で良かったと思えた作品。
暗号の意味が分かると、正直ぞっとする。
謎は最後まで明かされないというコメントが別サイトで見受けられて最初は躊躇したけど、今はそこが一番の魅力だと思えた。世界の水圧が次第に暗く重くなり最後は真暗闇。
結末をあれこれ想像する余地があり、私は逆に楽しめた。
謎の答えは、読んだ人によって異なるんじゃないかな。

2012/08/28

女子高を舞台にした幻想的な物語。ミステリのようでありＳＦのようでもあり、ホラーのようでもあります。
子供たちがすべて管理された世界で、それぞれの子供に与えられた番号の謎。閉鎖的な環境と、そこにある物たちにつけられた管理番号の謎。そして明かされる世界の真実は、なかなかに残酷で。だけども美しく、透明感と閉塞感に満ちた、それこそ水族館の水槽がイメージできる作品でした。