働くお姉さん・隣りのお姉さん の商品レビュー
序盤の安易なアプローチに萎えてから回復できなかった
タイトルで2度繰り返される『お姉さん』は年上の女性というよりも、実際の姉および姉と同等の人という意味である。 幼馴染み同然かつ姉同然に育ってきたツンデレ風味の勝気な隣人ヒロインと、親の再婚により出会った義姉という2人の「お姉さん」に囲まれ、男となり、義姉の後押しもあって幼馴...
タイトルで2度繰り返される『お姉さん』は年上の女性というよりも、実際の姉および姉と同等の人という意味である。 幼馴染み同然かつ姉同然に育ってきたツンデレ風味の勝気な隣人ヒロインと、親の再婚により出会った義姉という2人の「お姉さん」に囲まれ、男となり、義姉の後押しもあって幼馴染み的姉弟関係を脱した恋人同士を目指し、それが成就してからは義姉も交えて3人仲良くというストーリーは王道ながら悪くない。 しかし、その流れはぎこちなく、様々な展開という不揃いに並べられたブロックの継ぎ目を消すというより目立つ蝶番で繋いでいるかのよう。官能面においても、その誘惑のアプローチは唐突かつ安易と言わざるを得ず、いくら上げ膳据え膳とはいえ、その予定調和が表に出てしまっては萎える。しかも、これが後半から持ち直せばまだ良かったのだが、そのような兆候も見られぬまま終わった印象である。 せっかくの素材が横たわっていながら、砥ぎの甘い包丁で、切り方も覚束なくぶった切ってから何とか形にはした結果の、見ようによってはそう見えるかもしれないお刺身のようであり、それは見る人が見ればやっぱりお刺身じゃないよね、と思わず呟いてしまいそうな、そんな仕上がりの悪さを感じてしまったのが残念である。 これがデビュー作ならまだしも、美少女文庫を挟んだ3作目とあらば辛口にもなってしまう無礼をお許し願いたい。
DSK
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