歌集 北二十二条西七丁目 の商品レビュー

田村元【著】

2012/09/17

訳もなく＜善意志＞といふ語が浮かび哀しみて食むわかき筍

「ドイツ・イデオロギー」
わが詩句はわが生活に規定され友の前髪のように五月雨

思想史を専攻とせしことをややはにかみながら柏餅食う

身過ぎ世過ぎの中にも内なる道徳律に憧れ、社会科学の神話を呟く。歌集では、お酒、仕事、街、友人など様々なものがうたわれていますが、時折のぞく思弁的な視線による硬質の抒情が印象的です。