人類の原点を求めて の商品レビュー
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人類史についての研究が、ここ数十年間に新しい発見が相次ぎ、大きな成果をあげていることは知っていた。 ヒトはもちろん「神」によって短期間に創造されたものではなく(宗教を否定するものではないが)、極めて合理的な理由により生まれてきたと思わせたのが、1882年に発表された「イブ・コ...
人類史についての研究が、ここ数十年間に新しい発見が相次ぎ、大きな成果をあげていることは知っていた。 ヒトはもちろん「神」によって短期間に創造されたものではなく(宗教を否定するものではないが)、極めて合理的な理由により生まれてきたと思わせたのが、1882年に発表された「イブ・コパン」の「イーストサイド・ストーリー」である。 アフリカの大地溝帯の東側で乾燥化が進み、自然条件が森林から草原に変わることによって、ヒトが生まれたとする仮説である。 これは、ヒトが生まれた理由を、誰の目にもわかる自然条件の変化に求めることによって、「人類学」を広く誰もが注目する学問に引き上げたと思う。 しかし、最近ではその説は誤っていたことが明らかになっている。それを証明したのが、大地溝帯の西側である「チャド」で2001年に発見された「トゥーマイ」と名付けられた人類最古の化石の発見者「ミシェル・ブリュネ」であり、本書はその「ミシェルの物語」ある。 本書は学術書ではなく、エッセイのようなわかりやすい物語となっており、読み易い反面、「トゥーマイ」についての詳細な解説はなく、その点ちょっと物足りない。 著者の日本語版の本は他にはないようだが、著者は学術論文以外の著作はないのだろうか。これだけの新しい発見なのだから、詳細な内容をもっと広く世の中に知らせる義務も研究者にはあると思うのは私だけだろうか。その点が、ちょっと不満である。
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