明治二十一年六月三日 の商品レビュー
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
何気に手に取ったのですが、自分の中ではかなーり良かったです。 ルポが好きな方にはいいかも。 明治の留学生の集合写真なのですが、一番端っこに立っている、森林太郎氏を中心に、上司・友人・ライバルなどの人間関係を丁寧におっている本です。 「エリス事件」の真相 「舞姫」のモデル 留学生同士の相談に乗ったり、助け船を出したり 森氏のあれこれが分かります。 ちなみに、森さんのペンネームは森鴎外 研究も出来るし、周囲に気配りも出来るし、文学も愛好してるし で、くたびれ果てたこともあったのでしょうね。 上司にくってかかったり、留学仲間のことを怒ったり もしくは、仲間のことを思って泣いたり、助けたり 明治の医学生ですから、写真の方は、皆、日本近代医学の 第一人者なので、名前を聞いたら、あ!と思う方も多い。 面白かったですよ。
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一葉の写真がある。明治二十一年六月三日。ベルリンで撮影されたその写真には19名の日本人が写っている。官費・私費でドイツ留学を果たした医学留学生達である。 当時の留学生達は皆選ばれしエリートであり事実、帰朝後は「日本○○学の父」と呼ばれた者が大多数を占める。 写真の中では若輩に当た...
一葉の写真がある。明治二十一年六月三日。ベルリンで撮影されたその写真には19名の日本人が写っている。官費・私費でドイツ留学を果たした医学留学生達である。 当時の留学生達は皆選ばれしエリートであり事実、帰朝後は「日本○○学の父」と呼ばれた者が大多数を占める。 写真の中では若輩に当たる森鴎外をキーパーソンに、写真の19人と4人の鴎外ゆかりの友人を生まれから留学に至る経緯、そして帰朝後の生涯までをつぶさに描くことによって当時の日本の医学界の様子が見事に描き出される。
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明治21年にベルリンで撮影された一枚の写真は、そこに若き日の森鴎外や北里柴三郎が写っていることから、歴史に残るものとなった。しかし、その19人は、当時日本から洋行していたというだけでも、エリートであるが、その後の人生は色々で、多くは日本で然るべき地位に着いたが、中にはドイツに客死...
明治21年にベルリンで撮影された一枚の写真は、そこに若き日の森鴎外や北里柴三郎が写っていることから、歴史に残るものとなった。しかし、その19人は、当時日本から洋行していたというだけでも、エリートであるが、その後の人生は色々で、多くは日本で然るべき地位に着いたが、中にはドイツに客死し、名を残さなかった人もいる。著者は、その全員を探し当てるとともに、鴎外との関係を中心に、各人の一生を描いてみせた。中々の労作であり、ドキュメンタリーのようでもある。登場人物の多くは、医者であり、また、軍関係者であって、全体的には同質的であるから、一人一人の個性が記憶に残るというものでもないが、鴎外の日記を繰り返し引用することで、鴎外には詳しくなった。
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