公共調達研究 の商品レビュー
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
公共調達について真剣に取り組んでいる姿勢はよくわかった。参考文献が豊富で、前人未踏の成果だと感じることができる。 ところで、作る対象物が決まった後の入札に絞りすぎていないだろうか。作る必要があるものなのかどうかの検討の過程から、すでに社会的な活動で、入札側の組織、人も利用者の一部である視点が見えてこない。意味のあるものを、どういう費用で作るかの社会的合意をどのように形成したのかが、公平な入札の前提ではないのだろうか。 土木建築以外の分野に照らしてみると、不要なものを作るところから、談合が始まっていないだろうか。また、契約した後で、契約の双方で改善し、費用節減をすると良いことがある仕組みは作れないのだろうか。掘ってみたら遺跡があったり、断層があったり、いろいろ予定の範囲外の事項がある。予測していたとはいえ、金額の積み上げには全部を盛り込んではいないこともある。結果として公共事業は公共のためにあることに立ち返って考えないと解決の道がみえてこない。契約の双方は当事者というよりは、部分的な担当者であるという意識が産まれるようにするにはどうしたらいいだろう。「公共事業改革のヒント」になるだけでなく、検討の題材を揃えているという点で優れている。
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