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生きかたに迷った人への20章 の商品レビュー

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2017/10/18

あまり手に取られてない本ではないかと思うのですが、ささやかながら良い本だと思います。少なからず僕は感銘を受けるところがありました。 自己啓発書や人生指南書というと、昨今どうも断定的であったり挑発的なものであったりするものが多く見受けられる様に思いますが、この本はそうしたものとは一...

あまり手に取られてない本ではないかと思うのですが、ささやかながら良い本だと思います。少なからず僕は感銘を受けるところがありました。 自己啓発書や人生指南書というと、昨今どうも断定的であったり挑発的なものであったりするものが多く見受けられる様に思いますが、この本はそうしたものとは一線を画したバランス感覚がある様に思います。挑発も、煽りもしない。その点で、この本は地味です。しかしそれでいて堅苦しくもなく、僕は真っ当な印象を受けました。 この本は、自己啓発本に属するものと思いますが、哲学や宗教や文学的素養のある作者が、自分の実体験や苦悩をベースに古今東西の知見を述べつつ「幸福に生きるにはどうすれば良いか」を書き綴ったものです。主に、幸福感を生来的に得にくい人に向けて書かれたものでしょう。 そういう人が幸福に生きるためにはどうすれば良いか。まず作者は、「自己愛」を獲得するべきだと説きます。ナルシシズムに拠るものでなく、ありのままの自分を認めるという健全なタイプの「自己愛」です。しかし「ありのまま」とは言え、作者はここで短絡的な諦観によって努力を放棄することを勧めているのではありません。自分には変えられる部分と変えられない部分があり、変えられる部分は努力して変えていけば良いが、そうでない部分とどう折り合いを付けるか、それが問題なのです。 作者はそのために、精神療法といった医学的アプローチだけでなく、瞑想やキリスト教倫理など、様々なアプローチがあることを示しています。そのため、宗教や道徳の話が苦手な人は拒絶反応が出てしまうかもしれません。しかしそれは課題への単なるアプローチの問題と考えてください。真に重要な課題は、我々が傷付いた自己を恢復し、自分の人生や世界に対して肯定的に捉えられる様になることなのです。 この本は、ひょっとすると或る種の現実主義の立場からは、小学校の道徳の時間の様な「きれいごと」的な本と捉えられてしまうかもしれませんが、僕は作者が読者に対して何とかそこにリアリティを感じてもらおうとしている様な印象を受けました。 相性はあるでしょうが、様々な情報や価値観に疲れてしまった人や自分に憎しみを持つ人などに、緩和剤としてオススメできる本ではないかと思います。

Posted byブクログ