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ゴースト・ハント の商品レビュー

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16件のお客様レビュー

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2012/09/10

「最後のゴースト・ストーリー作家」ウェイクフィールドによる、本邦初訳作品を含む傑作選。 恐怖の対象そのものを具体的に描写せず、クライマックスで惨劇なり悲劇なりが起ったところで唐突に終わるというパターンが多い。 初期の作品「赤い館」や表題作、「目隠し遊び」から晩年の「暗黒の場所...

「最後のゴースト・ストーリー作家」ウェイクフィールドによる、本邦初訳作品を含む傑作選。 恐怖の対象そのものを具体的に描写せず、クライマックスで惨劇なり悲劇なりが起ったところで唐突に終わるというパターンが多い。 初期の作品「赤い館」や表題作、「目隠し遊び」から晩年の「暗黒の場所」と、曰く付きの屋敷にまつわる怪異譚が多いのも特徴か。 これが後半期の作品になると、純粋な心霊恐怖譚からサイコ・ホラーに通じるような……語り手なり登場人物の異常心理や妄執が呼び起こす恐怖(と思しきもの)を描いた内容になっていくのも時代性なのかな、と。 詳しくはこちらに。 http://rene-tennis.blog.so-net.ne.jp/2012-09-09

Posted byブクログ

2012/09/02

ラジオアナウンサーが喋り続け、正気から狂気に移行する様が格別で、思わず朗読したくなる・・・というワタクシゴトはどうでもいいけど、ホントにどこかでドラマ化してくれませんか。激希望です。

Posted byブクログ

2012/08/26

・H・R・ウェイクフィールド「ゴースト・ ハント」(創元推理文庫)はその名の通り、幽霊譚、怪談の短篇集である。この人は本場 英国の人で、「M・R・ジェイムズが事実上筆を断った一九二〇年代に颯爽と登場し、ゴースト・ストーリーの伝統を継承しつつ現代的な作風 で一世を風靡した作家で」(...

・H・R・ウェイクフィールド「ゴースト・ ハント」(創元推理文庫)はその名の通り、幽霊譚、怪談の短篇集である。この人は本場 英国の人で、「M・R・ジェイムズが事実上筆を断った一九二〇年代に颯爽と登場し、ゴースト・ストーリーの伝統を継承しつつ現代的な作風 で一世を風靡した作家で」(鈴木克昌「最後のゴースト・ストーリー作家」445頁)ある。1888年生まれ、1964年死去、ただし第二 次大戦後は発表の場に恵まれず、例のオーガスト・ダーレスが米国での発表の場を提供してくれてゐたとか。正統派怪談の書き手であつたがゆ ゑに時代遅れとでも思はれたのであらうか。ウェイクフィールド自身、時代の嗜好と怪談の限界を知つてをり、晩年は「世捨て人同然の暮らし ぶりだったと」(同前452頁)か。正に「最後のゴースト・ストーリー作家」であつた。わざわざこんなことを書いたのは、本書収録の18 編からウェイクフィールドが正統派の怪談の書き手であると如実に知れるからである。極端なことを言へば、この人は英国怪談黄金期の文壇に 君臨したと言つても通りさうである。それほど見事な書き手であつた。ダーレスがウェイクフィールドに発表の場を与へ、アーカムハウスから その作品集を出版したのも、こんな事情からに違ひない。ちなみに、本書収録作の大半は既訳である。本書のための新訳は6篇、3分の1は新 訳であつた。ただし初訳かどうかは記してない。 ・巻頭の「赤い館」はウェイクフィールドの実体験に基づく作品である(同前455頁)らしい。主人公が赤い館に住むやうになつて知つた不 快感、恐怖感と、そこでの何人もの自殺者の話である。抑へた筆致でそれを淡々と述べる。主人公自らのから始めて、妻、息子、そして更には 隣人の話に及ぶ。奇を衒はない。正に正統的な怪談である。これだけでもその力量が知れるといふものである。次の「ボーナル教授の見損じ」 はライバルをやつつけたがといふ幽霊譚である。教授とライバルはとにかく頭が良かつた。学問だけでなくチェスでもそれは同様であつた。た だし教授は常にライバルの後塵を拝してゐた。そこでライバルを殺してしまつたのである。それは完全犯罪と見えたが、そこに幽霊が登場して 教授は破滅する……とまあ、ある意味ではごくありふれた幽霊譚である。しかしそこはウェイクフィールド、人物造形がしつかりしてゐるから か、教授の手記で語られる物語は型通りの恐怖を醸していく。表題作「ゴースト・ハント」は幽霊屋敷探索のラジオ実況放送である。かういふ 発想は古い人にはできない。テレビでないから古いとは言へるが、怪談黄金期からすればラジオは十分に新しい。現在ならばテレビでの LiveとかUStream中継とかになるであらう物語である。それゆゑにか、いささか軽い。語弊はあらうが、滑稽味の勝つた幽霊譚と言へよう。有名な ゴーストハンターとその実況中継者がその家(の幽霊)に殺され捕らへられるといふだけの話である。だから、初めはのんびりしてゐる。それ が進むにつれて徐々に切迫感を増し……これは手記ではなくLiveである。そのあたりが違ふ。「湿ったシーツ」は幽霊による復讐譚であ る。殺された男が殺された方法で殺し返す、それだけの話である。最初から先が見えてゐるやうな話である。このやうに一つ一つ 書いていけば切りがない。いかにもそれらしい話が並んでゐる。それにもかかはらず、かういふ古き良き怪談の書き手たるウェイクフィールド にも怪談は「滅びゆく芸術」(同前456頁)であつた。科学と相容れないと考へたらしい。現代人である。「最後のゴースト・ストーリー作 家」らしいと言へよう。

Posted byブクログ

2012/07/13

現代風のホラーとは一味違った恐怖が愉しめる短篇集。幽霊屋敷ものや、最後まで怪異の正体が判然としない作品が多いのも、古き良き英国風の幽霊譚という感じ。「ポーナル教授の見損じ」、「ゴースト・ハント」、「最後の一束」辺りがお気に入り。

Posted byブクログ

2012/07/02

まさに正当派英国怪奇小説。『本邦初の文庫傑作選』と帯で謳っていますが偽りなし。収録作どれも素晴らしい。 面白い本には2パターンあって、ページをめくる手が止まらず徹夜してでも一気読みしてしまうモノと、もう一つは面白くて一気読みなんて勿体なくて、毎日少しずつ堪能しながらゆっくり味わい...

まさに正当派英国怪奇小説。『本邦初の文庫傑作選』と帯で謳っていますが偽りなし。収録作どれも素晴らしい。 面白い本には2パターンあって、ページをめくる手が止まらず徹夜してでも一気読みしてしまうモノと、もう一つは面白くて一気読みなんて勿体なくて、毎日少しずつ堪能しながらゆっくり味わいながら読むモノ。この本は明らかに後者のパターン。 1編1編の満足度が高くて、1日に2~3編も読めばもうお腹いっぱい。続きは明日、という嬉しい気分にさせてくれる短編集でした。 個人的お気に入りはどれも優劣つけがたいですが、あえて選ぶなら『ゴースト・ハント』、『“彼の者現れて後去るべし”』、『中心人物』。 魅力的な怪奇現象の提示からぐっと読者を掴んで話を盛り上げて行き、ラストでスパーンと決めてくれます。 英国怪奇小説、堪能させていただきました。

Posted byブクログ

2012/07/15

タイトルから小野不由美さんの小説を彷彿したので、買ってしまった。 読了。 まさに「怪奇小説」。面白かった! イギリスの地方にある陰鬱な館のイメージがリアルに感じられました。特に「ゴーストハント」のひたひたと忍び寄る恐怖が何ともいえず秀逸。

Posted byブクログ