移民・マイノリティと変容する世界 の商品レビュー
グローバル化によって発生した人の移動に伴って発生しているさまざまな事象や、国内のさまざまな集団(民族・宗教など)にかかる諸政策について、多角的に論じた一冊。章ごとに分担執筆の形をとっていて、それぞれ著者の専門分野について20ページ程度で論じている。 外国人労働者の問題と政策に関...
グローバル化によって発生した人の移動に伴って発生しているさまざまな事象や、国内のさまざまな集団(民族・宗教など)にかかる諸政策について、多角的に論じた一冊。章ごとに分担執筆の形をとっていて、それぞれ著者の専門分野について20ページ程度で論じている。 外国人労働者の問題と政策に関して、いろいろと試行錯誤が行われているということを改めて感じました。安価な労働力が必要なため外国人労働者は必要だが、その一方で永住までされてしまうと国内の労働市場と競合してしまう、という。「競合する」という部分において、これが進行するとナショナリズム的な反感の世論が生まれる為、政府は積極的な定住許可や権利保障はできないのではと個人的には思うのだけれど、とくに日本は安い労働力を便利に使おうというのがあまりにも見えてしまっていて、もっと改善しないと、出稼ぎ先として魅力のない国になってしまうのではと思う。 他に面白かった内容としては、多数派(政権与党でもあり、人口も多い)集団による多数派優遇政策というマレーシアの事例。多数派だけれども、経済水準が低いため是正政策を行っているということらしい。「多数派を優遇する」というのは、少数派の反感をとても買いやすく、他国からも不平等な国という印象をもたれる可能性があるので、とてもバランス感覚のいる政策だと思うので、とても面白く拝読しました。 グローバル化の進む世界について、いろいろなトピックを通じて考えることができるいい本だと思います。
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