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英語の前置詞 の商品レビュー

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2021/09/04

 「前置詞のあまりにもばらばらに細分化された意味を、できるだけ単一の”中核的意味”にまとめる」(p.v)ことを意図して、40以上の前置詞について用例を列挙したもの。  atは点、inは中、withは同伴、とか今となってはむしろ前置詞学習の基本と言える部分で、目新しいものはない。最...

 「前置詞のあまりにもばらばらに細分化された意味を、できるだけ単一の”中核的意味”にまとめる」(p.v)ことを意図して、40以上の前置詞について用例を列挙したもの。  atは点、inは中、withは同伴、とか今となってはむしろ前置詞学習の基本と言える部分で、目新しいものはない。最後に「補遺」として「overの意味分析」という小論があって、an argument over moneyは、「aboutよりも長期間の紛争が暗示されるのは、overのもつ孤の形状からの帰結」(p.190)とか、「反復」のoverについては「元来はover again、または twice / thrice overのように倍数詞とともに用いられたのであった。いわば、「(ご破算にして)もう一度弧を描け」といったような意味を表していたのである。したがって、反復の意味は元来はagain / twiceなどが担っていたのであり、over自体のイメージは、以前として”弧を描く経路”と考えられる」(同)とか、面白い。けれどなんでoverだけなんだろう、とか思ってしまう。  残念だけれど、既に色々他で言われていることでもあるので、ただの用例集、という域を出ない気がする。ただ用例を集めただけの誰かのノートを垣間見るような感じ。そして不思議なのはやたら大学入試問題から取られているということ。「基本前置詞の章で大学入試問題が数多く引用されているとすれば、そこで基本前置詞の例が多数利用されているためであり、本書が大学受験参考書を目指すものでは決してない」(p.vi)というくらい、基本前置詞の章に限らず引用されているが、とても不思議。さらに<東京外大>とかあるけど、これはいつの何の入試なんだろう?しかももしかすると入試の文法問題は日本人が勝手に創作した英文かもしれない上に、随所で「大学入試に多出」と書いてあるが、一昔前なら多出だったかもしれないけど、今もそう言えるのかなあ、と思ってしまう。(今度、「大学入試に多出」って書いてあるところをまとめてみようと思う。)そしてもう1つ残念なのは、あまりに誤植typoが多すぎて、びっくりする。結構な頻度で綴りのミスが出てくる。ひどい場合は1ページに2箇所もあったり(例えばp.49)するのも、なぜそういうことになるのか不思議だった。単に著者がやりたい企画を持ち込んで、著者は大物だし誰もNOと言えず、その代わり著者以外はみんな適当に仕事して、仕方なく本にしました、みたいなものなのか、とか意地悪く思ってしまうほど。  なので本としてどうなのかとは思うけど、結局おれ個人的にはこういう用例をたくさん眺めるのはとても好きだから、英語好きが手に取る本としてはこれで十分なのかもしれない。be made ofとか教えるけれど、これはmake A of B(p.57)でA is made of Bの形、とか言われてみれば当たり前だけど気が付かなかった。高校生にmake the best/most ofみたいな熟語の話で「出所」のofの話はするけど、中学で覚えたbe made ofと関連させて話せばよかった、とか、そういう発見もある。anxious about とforとかcome acrossとatとbyとか、紛らわしいものを比較する章もあって、文法語法好きな教員的には楽しいし、in the teeth ofとかいう知らない熟語を勉強するのも面白いけど、なんか結局一昔前の受験参考書にありそうな感じで、やっぱり英語学関連の本としては微妙かもしれない。(21/09/03)

Posted byブクログ