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妻の姉「二週間の秘園」 の商品レビュー

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許されない関係への懊悩と解放のギャップ

社長秘書な妻が海外出張する2週間に、その姉と訳あって同居した主人公が秘めた想いから関係を結ぶ話。まぁ、タイトル通りと言えよう。他に、この夫婦に共通の後輩(受付嬢)がサブヒロインとして登場する。終盤では妻との営み(?)もあるので実質的には3人ヒロインとなる。しかし、とうとう庵乃先生...

社長秘書な妻が海外出張する2週間に、その姉と訳あって同居した主人公が秘めた想いから関係を結ぶ話。まぁ、タイトル通りと言えよう。他に、この夫婦に共通の後輩(受付嬢)がサブヒロインとして登場する。終盤では妻との営み(?)もあるので実質的には3人ヒロインとなる。しかし、とうとう庵乃先生も「黒本」に登場かぁ~と、その作風に注目したが、これが思いのほか「黒本」だったことに少々驚いた。執筆側が「黒本」らしいのを書きたかったのか、編集側の意向だったのかは知る由もないが、特に結末において、これまでのリアルドリーム文庫や竹書房ラブロマン文庫などの過去作品とは明らかに異なるテイストを感じた。 メインヒロインが妻の姉(未亡人)なのは揺るぎないが、中盤以降は後輩が旗振り役となり、最後にはみんなで寄ってたかって帰国した妻を取り囲む流れでもある。そして、それぞれのアプローチは割と一方的なものだったりする。 序盤:主人公 → 妻の姉 中盤:後輩(&主人公) → 妻の姉(&主人公) 結末:主人公&妻の姉&後輩 → 妻 この矢印の流れで、過去の悲しい体験を背景にした情愛や、以前より秘めていた恋慕、あるいは作中で「新しい世界」と表現された関係の構築を成就すべく迫り、迫られる展開とも言える。迫りには独り善がりな印象もあって好みが分かれるところかもしれないが、迫られる(主に妻の姉)側の葛藤や懊悩、あるいは困惑といったものもしっかり描かれることで深みを増している。 そして、理性と感情と肉欲の狭間でずっと悩ましい状態にあった妻の姉が遂にタガを外し、全てを解放した時の破壊力がなかなかに凄まじい。このギャップが本作の最初の見せ場と言える。さらには、最後の最後になって全てが一変していることに気付き、狼狽し、忌避し、抵抗する妻を降参させる「最後の切り札」が伏線の回収になっているところはさすがの構成と言えよう。 他の文庫ならば、職を失っていた主人公の再就職を祝うようなエピローグが盛り込まれるところかと思われるが、これを一歩手前で留め、代わりに乱れに乱れ、爛れに爛れ切った関係の描写にあてたことが「黒本」らしさであり、その官能描写の猛烈な淫猥さが他の文庫と一線を画すところと推察したがいかがであろう。

DSK