八月の光 の商品レビュー
広島に原爆が落とされた日。一瞬で街が壊滅し、人々は死んだ。助かった人も人とは違うものになってしまった。あまりにも恐ろしい原爆の威力だが、児童書だからか読みやすい。あの戦争であんな恐ろしいことがあったことを決して忘れてはいけない。それが後世に生まれた者の義務ではないか。「あの日を知...
広島に原爆が落とされた日。一瞬で街が壊滅し、人々は死んだ。助かった人も人とは違うものになってしまった。あまりにも恐ろしい原爆の威力だが、児童書だからか読みやすい。あの戦争であんな恐ろしいことがあったことを決して忘れてはいけない。それが後世に生まれた者の義務ではないか。「あの日を知らない人たちが、私たちの記憶を自分のものとして分かち持てるように」。
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※このレビューにはネタバレを含みます
実在のモデルを元にした短編物語集。 あの朝、ヒロシマでは一瞬で七万の人びとの命が奪われた。表紙をめくるとこの文が目に入ってくる。タイトルの”八月の光”の意味がここで明らかになる。 「雛の顔」ある朝、昭子の母真知子は今日はよくないことがおこると言って勤労奉仕に出かけなかった。昭子は学校へ行く途中で強烈な光に叩かれ吹き飛ばされる。自分は長い間寝付いたものの起き上がれるようになったが、母は市内へ手伝いに行き被爆したことが原因で亡くなってしまう。やっと普通に起きられるようになった昭子は、崩れた土蔵の壁の下に黒い雨で顔を汚したお雛様を見つけ、亡くなった人たちのことを思い出しようやく涙を流すことができた。 「石の記憶」父が南方で亡くなり母と二人暮らしの光子。爆撃がひどくなるという噂を聞いて母は疎開の準備を始める。来週には越そうと言って銀行に出かけ、原爆が落とされた後母は帰ってこなくなった。3日後、母を探しに行った光子は銀行前にのこっている影が母の座っていた跡だと知る。光子はその跡に母のぬくもりを感じ、何度も石段をさすっていた。 「水の緘黙」原爆投下後、子どもや女の人の助けを振り切って逃げた僕は、置いてきた人びとの影に追いかけられる幻想が頭から離れず自分が誰か分からなくなってしまった。ある日オルガンの音色に導かれ教会に通うようになる。初めは音楽を聴くために通っていたが次第に牧師と話をするようになり、他の人の経験を知ることで自分に何が起きたかを思い出そうとすることができるようになった。やがて、助けてと言ったと思っていた少女が実は逃げてと言っていたことを思い出し、少女の両親へ少女の最後を伝えることができた。そして生きている自分たちが死んでいった人びとのことを忘れずに伝えていかなければと思い、自分の名前を思い出すことができた。 重いテーマだがしっかりと書いている。原爆投下後の人びとの様子も誤魔化さず大げさでもなく淡々と描いている。1話2話の登場人物が3話めに描かれていて月日の流れが実感できる。戦争、そして原爆が多くの人生をいきなり変えてしまったということを自分に引き当てて考えることができる。
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広島、原子爆弾にあった人の3つのストーリー。勘が鋭く少女のままのような不思議な雰囲気の母が、あの朝は勤労奉仕に行かない言って原子爆弾を免れるも、黒い雨に打たれて死ぬ。疎開することを決めて銀行に朝早くお金をおろしに行った母が銀行の階段で一瞬で焼かれて影になる。幼い娘は母を探しに銀行...
広島、原子爆弾にあった人の3つのストーリー。勘が鋭く少女のままのような不思議な雰囲気の母が、あの朝は勤労奉仕に行かない言って原子爆弾を免れるも、黒い雨に打たれて死ぬ。疎開することを決めて銀行に朝早くお金をおろしに行った母が銀行の階段で一瞬で焼かれて影になる。幼い娘は母を探しに銀行まで来て影になった母を見つける。梁に敷かれ逃げられない女生徒を見過ごしたことで、自分自身が誰なのかも思い出せなくなった僕。
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※このレビューにはネタバレを含みます
被爆2世の作者が描く、 広島の原爆の3つの物語。 どの話しにもモデルがあるそうですが、二十万人の死があれば、残された人々には、それ以上に物語があり、それらの多くは記録されることなく消えてしまう・・・ 投下直後の惨状や、生き残った人々の葛藤など、 内容は重いけれど、 読みやすく、美しい言葉で書かれている。 中高生に。読書感想文にもむいている。
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とても良い良い、とすすめられて、 天の邪鬼でもあることだし、 さらには戦争関連本嫌いである私は手を出せずにいたのですが、 ようやっと不承不承、読んでみました。 (戦争関連本は辛いからいやなの) すでに原子爆弾をめぐるフィクション、 ノンフィクションを問わない作品群があまた存在す...
とても良い良い、とすすめられて、 天の邪鬼でもあることだし、 さらには戦争関連本嫌いである私は手を出せずにいたのですが、 ようやっと不承不承、読んでみました。 (戦争関連本は辛いからいやなの) すでに原子爆弾をめぐるフィクション、 ノンフィクションを問わない作品群があまた存在する中で、 なぜこの本なのか?という問いがあるなら、 答えは、この本はいろいろな意味で「きれい」、 ということなのではないかと思いました。 装丁がきれいで、中の字組もきれい。 透明感のある文体。 しかし・・・ それほどよく書けているとも思えないのが不満。 書きたい内容と小説としての言葉が求めるものの間に 乖離もしくは矛盾が生じることがあり、 それがお互いにしのぎを削るところに「作品」としての面白みがぎりぎり成り立つのだとすると、 戦争を扱ったものは内容に重きがおかれがちで、 それが作品としての質を低下させてしまうような気がしてしまうのです。 3つの連作の中でいえば、最初の「雛の顔」が一番面白くなりそうな可能性があって、 前半で「真知子」というせっかくよい材料を持って来たのだけど、 どうしても内容にひっぱられて後半月並みになってしまった。 結局全体としても、戦争について素敵な文体/言葉で書いてみました、 みたいになってしまったところが残念。 戦争関連のフィクションは、 ベクトルがはっきりしたメッセージ性を排して、 もっと文学作品としての質に真剣に向き合ったら、 結果的に効果的なメッセージ性を有した作品になるだろうと思うのだけど、 素人考えでしょうか。 戦争関連本が苦手なあまり、 かなり辛口になったきらいがあります。 『あのころフリードリヒがいた』とか『夜と霧』のような本は、 辛くても読む意義があると思えるのですが、 作品の質が中途半端だと、読まなくてもいい!と思ってしまうのは、 私の偏った考え方なのかもしれません。 いろいろと不満はありますが、 とりあえず、今の若い人に読んでもらうには 手頃な感じは否めません。 小学校高学年女子なら読みそうな感じです。
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◆夏の自分課題図書。被爆2世である筆者が取材の上あらわしたヒロシマの、あの日から始まる三つの物語。◆『黒い雨』を思い出すものの、作者の持ち味である情緒豊かな美しい言葉選びに、最初は「キレイ過ぎる」印象。しかし、物語が進むにつれ、増えるにつれ、作者の語りたかったことが力強く立ち現れ...
◆夏の自分課題図書。被爆2世である筆者が取材の上あらわしたヒロシマの、あの日から始まる三つの物語。◆『黒い雨』を思い出すものの、作者の持ち味である情緒豊かな美しい言葉選びに、最初は「キレイ過ぎる」印象。しかし、物語が進むにつれ、増えるにつれ、作者の語りたかったことが力強く立ち現れてくる。「なぜ私ではなかったのか・なぜ私が生かされたのか」。「生かされた人びと」がいかに心を押しつぶされ、生きる意味を見失って苦しんだかを語り、その苦しみを記憶した生に意味があることを見出し肯定する、被害者・被災者を支える物語。◆最終話「水の緘黙」の告白には、涙せずにはいられない。平易な文章で、ルビも付けられているので小学生からでも読むことはできるが、対象年齢は、他者の痛みを想像できる段階にあるもの以上。この本の「意味」が多くの人に伝わりますように。【2013/10/09】
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朽木祥というひとは誠意があり、書いていることもまっとうだし、今どきの若い作家に比べたら日本語もちゃんとしているし、特に文句はつけられないんだけど、なんだか強く惹かれるってこともないのよね。 これは広島に原爆が投下された前後のことを3つの短編にしていて、どれも悪くないけど、最初の「...
朽木祥というひとは誠意があり、書いていることもまっとうだし、今どきの若い作家に比べたら日本語もちゃんとしているし、特に文句はつけられないんだけど、なんだか強く惹かれるってこともないのよね。 これは広島に原爆が投下された前後のことを3つの短編にしていて、どれも悪くないけど、最初の「雛の顔」なんて、真知子という母が凄く魅力的な人物なのに、小説として生かし切れていない感じ。 思うに、この人は「こういうことが言いたい」という観念が先にあって書いているんじゃないかなあ。 登場人物がいきいきと自然に動いてるという感じはしないのよ。 広島の惨事から、平和の大切さを学ぶっていうのは大切なことだけど、読み手が登場人物にもっと感情移入できるように書いてあれば、失われたものの大きさが、よりリアルに伝わるんじゃないだろうか。 児童文学の書き手として有名な人だからこそ、余計そう思うのかもしれないが。
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「あの人たちが死に私たちが助かったことにどんな意味を見いだせと、神が考えているのか、私にはどうしてもわからないのです」 震災のことにも通ずるものがある、と思う。
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もうすぐまた原爆記念日がやってくる・・・あの日新型爆弾に一瞬にして焼かれたのは私だったのかもしれない。そう思って読みました。そして今生きている私たちがするべきことは何なのか・・・考えさせられました。
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広島の原爆を扱ったもの。文科省の推薦リストの対象は高校生になっていました。大人にも読んで欲しい。やはり、繰り返し読んで、忘れてはいけないと思う。
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