台湾海峡一九四九 の商品レビュー
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
歴史を知ることは大切だ。教科書に1行しか書かれていないことにも、複数の味方があり背景がある。価値判断もあてにはならない。「正義」というのは普遍的なにおいがするがそうではない。何に対しての「正義」か。「大義」もしかり。p210「歴史というのはそもそも、勝った側が書いたものか、あるいは負けた側が書いたものかを把握していなければならない」…そして、それぞれ政治的イデオロギーと結びつき、ややもすると変説する。 p366「…どちらが正しくて、どちらが間違っているとか、そんなことを言っているのではない。ただ考える。…」これなら、だれにでもできる。知識の有無は関係ない。「頭のいい人」に「ダメ人間」と見なされ、思考停止になったら思うつぼだ。だから、考える。筆者はこの本は「文学」だという。ということであれば、文学には力がある。他の形態であるならば、これほど心に響かなかっただろうから。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
著者の両親は中国本土出身。1949年は中国で内戦が勃発した年。中国本土から、国民党など台湾へ。 両親の時代を多くの人へのインタビューなどで構成。歴史に翻弄された人々への哀しみと慈愛に満ちた、優れた本である。 インタビューを受けた人々もまさに記録として残してほしいと願っていた。どうも、映像(映画?TV?)にもなっているよう。
Posted by
台湾の人の第二次大戦に関する立場は複雑だ.被害者でありながら加害者でもある.さらには戦後には国民党が中国本土からやって来て,内省人と外省人の2種類の人々が同居することになった.この第二次大戦や国共内戦,国民党の台湾移転(本書タイトルの1949年)までの,台湾(と中国)の暗黒時代と...
台湾の人の第二次大戦に関する立場は複雑だ.被害者でありながら加害者でもある.さらには戦後には国民党が中国本土からやって来て,内省人と外省人の2種類の人々が同居することになった.この第二次大戦や国共内戦,国民党の台湾移転(本書タイトルの1949年)までの,台湾(と中国)の暗黒時代ともいえる10年間について,膨大な資料の分析とインタビューをもとに構成されたルポタージュ. 日本兵として日中戦争/太平洋戦争に参加した台湾人,国共内戦で国民党側に参加して台湾に逃れた外省人,いずれも若い田舎の青年であった.2009年に原書が台湾で発刊されたが,従軍した人々の年齢からして,取材するにはギリギリのタイミングだったといえる.
Posted by
https://www.hakusuisha.co.jp/book/b205929.html 上記リンク先より転載 時代に翻弄され、痛みを抱えながらこの小さな島に暮らしてきた「外省人」と台湾人。“敗北者たち”の声に真摯に耳を傾け、彼らの原点である1949年を見つめ直す歴史ノンフ...
https://www.hakusuisha.co.jp/book/b205929.html 上記リンク先より転載 時代に翻弄され、痛みを抱えながらこの小さな島に暮らしてきた「外省人」と台湾人。“敗北者たち”の声に真摯に耳を傾け、彼らの原点である1949年を見つめ直す歴史ノンフィクション。 1949年、国共内戦に敗れた国民党政府軍と戦乱を逃れた民間人とが大挙して台湾へ押し寄せた。その数ざっと200万。一方、50年にわたる日本の統治期を経て、「外省人」という新たな勢力の大波にのみ込まれた台湾人。互いに痛みを抱えながらこの小さな島に暮らしてきた外省人と台湾人の「原点」を、60年が過ぎたいま、見つめ直す。 抗日戦終了後、休む間もなく国共内戦に投入され、最後は国民党軍の撤退とともに台湾へ逃れてきた軍人とその家族たち。南洋にあった日本軍の捕虜収容所で監視員を務め、戦後、戦犯として裁かれた台湾人。たまたま隣の島へ荷物を届けて、海域を封鎖された漁師―。 本書は、あらがえない時代の流れのなか、限られた運命の選択肢に自らを賭し、必死で生き延びてきた人々の姿を、当時の日記や史料をもとに丹念に描いた歴史ノンフィクションである。と同時に、これまで語られることのなかった〝敗者〟の声を真摯に汲み上げた記録文学でもある。 「世界で最も親日的な国」といわれる裏にどんな事情があるのか、独立か統一か現状維持かで常に揺れ動く背景に何があるのか。東アジア全域を舞台に、台湾随一のベストセラー作家が満を持して放つ歴史大作!
Posted by
国共内戦時の兵士、一般人の語る凄惨な歴史の記憶が忘却されぬよう、この一冊に広汎且つ詳細に記述され、台湾海峡を隔てた大地と島の苦難の時代を深く知ることが出来ました。
Posted by
面白いけど、まだ途中…。時間ある時にゆっくり読みたい。 船に乗ろうとよじ登るけど、水餃子のようにポトポト海に落ちていくって、目に浮かぶような表現。ストーリーだけでなく、表現も良い
Posted by
其實我沒在上海和台北工作的話,我沒想到看這書本。一頁一頁好難看。人生是什麼?命運是什麼?我感謝活著在現在平穩的時代。
Posted by
ーーーーーーー 序盤は時代・舞台が交互に入り交じり背景知識もなかったため内容に付いていくのが大変でした。 もう一度読むと理解が深まりそうです。特に印象に残っている点としては、 ・台湾生まれにちなんだ名前の由来。そして、香港生まれのジャッキーチェンの本名の由来も。 ・台北市の路地名...
ーーーーーーー 序盤は時代・舞台が交互に入り交じり背景知識もなかったため内容に付いていくのが大変でした。 もう一度読むと理解が深まりそうです。特に印象に残っている点としては、 ・台湾生まれにちなんだ名前の由来。そして、香港生まれのジャッキーチェンの本名の由来も。 ・台北市の路地名を辿って本土の歴史に触れていく辺り。コロナが無ければGWに行く予定でした。明けにはぜひ。 ・後半部分の”フォルモサ”を使って捕虜を監視する点は、自らの手を汚さないナチスと同様。 ・「八百壮士」映画のリメイク版(The Eight Hundred)、日本で公開されたら見に行きたいと思います。 ーーーーーーー 2024年9月22日 再読 ・フランス童謡「フレールジャック」の中国版 ・中国とベトナム国境 十万大山 ・自由中国運動 ・台北は 縦17km横16kmの中国歴史地図 ・ターニャの日記 ・第70軍の接収任務 ・日々是好日 ・1944年9月2日 アメリカ軍機が父島で撃墜 9人で唯一生き残ったのは、マサチューセッツ州出身のジョージ・H・W・ブッシュ
Posted by
国民党軍として、中国大陸から台湾へ渡ってきて、外省人と呼ばれるようになった人々から始まり、第二次世界大戦で日本兵として出征した台湾人たちの苛烈な運命も含め、20世紀の両岸三地を生きた個々の人々の多数の物語を綴った骨太のノンフィクション。戦中の物語はあまりに衝撃でこちらの心も読んで...
国民党軍として、中国大陸から台湾へ渡ってきて、外省人と呼ばれるようになった人々から始まり、第二次世界大戦で日本兵として出征した台湾人たちの苛烈な運命も含め、20世紀の両岸三地を生きた個々の人々の多数の物語を綴った骨太のノンフィクション。戦中の物語はあまりに衝撃でこちらの心も読んでいて痛くなる。 国籍は関係なく、戦争が引き起こすものの残酷さを改めて思うし、これまで触れてきた台湾の映画や書籍、旅して見てきたこともここに繋がっていく。 親日やらなんやら言われたり、国民党を親中扱いするような単純な言論もあるが、この本が翻訳され、読めたことで台湾好きとしては気持ちが一層引き締まるのであった。
Posted by
本書と直接は関係ないが、ふと思い出した文句をふたつ。 「人間が彼らの地理的・社会的・知的空間の中で窮屈に感じ始めたとき、ひとつの単純な解決策が人間を誘惑する怖れがある。その解決策は、人間という種の一部に人間性を認めないということに存している。(略)アジアで私を怖れさせたものは、...
本書と直接は関係ないが、ふと思い出した文句をふたつ。 「人間が彼らの地理的・社会的・知的空間の中で窮屈に感じ始めたとき、ひとつの単純な解決策が人間を誘惑する怖れがある。その解決策は、人間という種の一部に人間性を認めないということに存している。(略)アジアで私を怖れさせたものは、アジアが先行して示している、われわれの未来の姿であった。」 レヴィ=ストロース『悲しき熱帯』より 「一人の死は悲劇だが、集団の死は統計上の数字に過ぎない」 アドルフ・アイヒマン この本は、時間のなかに埋もれて、または統計のなかに埋もれて顔を失ってしまっていた一人々々の人間にそれぞれの顔をとりもどすための一冊だ。しかし、読んでいてあまりの悲劇の洪水に現実感を失いそうにもなる。 印象に残ったのは、母親が用を足しているわずかな隙に列車が走り出してはぐれてしまった幼児(その行方は分からない)。国民党軍と解放軍の区別もあやしい、徴発された台湾出身の元兵士。レニングラードにも匹敵するが、歴史からかき消された長春包囲戦の飢餓。日本人の苦難も。 しかし国民党軍の弱さにアメリカ政府があきれていたが(『コールデスト・ウインター』)、この無理矢理な徴発ではむべなるかな。
Posted by