30代が覇権を握る!日本経済 の商品レビュー
産業再生機構でカネボウやダイエーの経営再建に携わった冨山和彦さんの本。タイトルのとおり、近いタイミングで重大な局面を迎えるであろう日本経済に対して、今の30代がイニシアティブを持って社会変革を起こすべしという指南の書となっている。 物心がついた頃にバブル崩壊、就職は氷河期に突入...
産業再生機構でカネボウやダイエーの経営再建に携わった冨山和彦さんの本。タイトルのとおり、近いタイミングで重大な局面を迎えるであろう日本経済に対して、今の30代がイニシアティブを持って社会変革を起こすべしという指南の書となっている。 物心がついた頃にバブル崩壊、就職は氷河期に突入し、非正規雇用と正規雇用の格差の問題、正規雇用でもワーキングプア続出と、まったく報われない時代を突き進むフロントランナーである30代。消費税増税、年金負担額増額、医療費の拡大といった高齢化社会の課題に対して、今こそ声を挙げるべきであろう。 日本の課題とは、脱原発でもTPPでもなく、統治構造である。先送り、短期視点での意思決定が繰り返される今の社会における決裁権を、60代以上から30代以下にひっくり返さなければ、将来世代のための施策はことごとくできなくなってしまう。 我々のすべきことは、革命であろう。
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『下山の思想』(五木寛之、幻冬社)がベストセラーになり、日本は下り坂に入り、もはや成長はのぞめない、という論調が強くなってきています。 しかし、こうした風潮に対して、著者ははっきりと、こう言い切ります。 「下山するなら自力で下りろ!若い世代に負担を掛けるな!」 「3...
『下山の思想』(五木寛之、幻冬社)がベストセラーになり、日本は下り坂に入り、もはや成長はのぞめない、という論調が強くなってきています。 しかし、こうした風潮に対して、著者ははっきりと、こう言い切ります。 「下山するなら自力で下りろ!若い世代に負担を掛けるな!」 「30代よ、立ち上がれ! 団塊世代よ、品格を見せてみろ!」 「団塊世代」など、おカネに余裕がある高齢者の意見がまかり通る日本。一方、働き盛りの30代は、年金や介護、医療費の負担増を強いられ、上がらない給料をやりくりしながら苦しんでいます。 このままでは日本経済の活力が完全に失われる! 本書では、高齢化社会のための負担増を真っ向から否定。「おカネがある世代は、自力で生き抜く」ことを前提に、年金、医療問題のシンプルな解決策を提案。働き盛り世代のモチベーションが上がるアイデア満載の経済オピニオン書です。 <POINT> ●今日の日本社会に大きな変革を求めるような、深刻な対立軸は世代間対立である。 ●たとえば子育て貧困家庭における所得再分配後の所得は再分配前を下回っている。 ●上の世代へいくほど、再分配後の所得増加幅が大きくなっている。 ●日本の個人金融資産1500兆円の大半を60代以上の人々が持っている。 ●日本では、資産も所得もない若い世代から巻き上げて、資産も所得もある上の世代に配っている。 ●税と社会保障の問題も、財政悪化の問題も、規制改革を阻んできた既得権構造の問題も、若年層失業と格差の問題も、最後は世代間の収奪構造の問題に行き着く。 ●この仕組みの中で、若い世代が収奪側である親の世代に寄生し、草食化して内向きになるのは、きわめて自然な成り行きである。 ●民主政治の下では、いまのところ既得権を持っている上の世代が多数派であり、世代間収奪の仕組みを民主的政治プロセスで根本的に転換することは難しい。これは民主政が歴史上、初めて直面すると言ってもいい深刻なジレンマである。 ●この問題構造において、世界の最先端を走る日本にこそ、解決モデルを世界に提示する使命があり、それが日本再生に向けて残された最後にして最大のチャンスでもある。 ●その主役となるべき世代は、従来の仕組みでは絶対に負け組となる世代の先頭を走っている30代の人々だ。 ●30代の親の世代にあたる団塊の世代のスタンスが問われる。民主政治の多数派である上の世代も、世代としての品格を見せなければならない。 ●この世代が、子どもたち、未来の日本人(「悠久の日本国民」)に対して責任を果たすべきである。 ●この世代が、自分たちの既得権を粛々と放棄する決断をしたとき、日本は先進民主主義国の中で初めて、世代間収奪のジレンマからの脱却に成功する。 冨山氏は本書について、「1960年生まれの狭間の世代の人間として、この二つの世代に対して問題提起をし、挑戦をし、さらには決起を促すことを意図している」「そのために、あえて、かなり過激な解決策やきわどい覇権奪取の方法論を提示している」と述べておられます。ともかくも、30代ビジネスマンの方にぜひ、読んでいただきたい一冊です。
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