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どうして僕はこんなところに の商品レビュー

3.9

13件のお客様レビュー

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2012/08/25

旅の紀行というよりも、20世紀のキーパーソンたちとの出会いの記録みたいな、時代の中を旅してきたという紀行。旅行記を超えたもので、いつまでたっても読み終えたくないような本。

Posted byブクログ

2012/07/26

パタゴニアの飾り気のない淡々とした語り口で、ただ旅の本来の目的とは別に同時進行で歴史を追うチャトウィンがこの上なく知的でかっこよかった。 本書は自叙伝なのだろう。彼の考え方や、価値観が随所に散りばめられている。1988年の執筆年から始まるが年代は順序立てて編まれているのでなく、ば...

パタゴニアの飾り気のない淡々とした語り口で、ただ旅の本来の目的とは別に同時進行で歴史を追うチャトウィンがこの上なく知的でかっこよかった。 本書は自叙伝なのだろう。彼の考え方や、価値観が随所に散りばめられている。1988年の執筆年から始まるが年代は順序立てて編まれているのでなく、ばらばらで、1988年の死の年の執筆年で終わる。規則性はわからない。ただ、旅の理由、あるいは抑えきれない移動への衝動の根幹を探していたように思う。そして、徐々に彼の答えが旅の中で確立されていき、それを整理して編んだのが本書ではないだろうか。 彼は作品の語り口とは違い、実際の人物はかなり饒舌で気さくな人だったようだ。それは、「私は笑いすぎて、ライチョウの肉が鼻から出そうになった。」という"私のモディ"の一文から推察できる。となると彼なりの茶目っ気で、彼の頭の中をばらばらに散りばめた作品と言えるのかもしれない。 さらに彼を神出鬼没の人、とみるならば、雪男や狼少年に興味を持つあたり、彼自身、現実と想像の狭間のぼんやりした領域に身を置きたいと考えたのではないだろうか。そう考えると奇跡に出会おうとしているような節を感じる。事実はわからない。ぼくの想像でしかない。雪男の一節の、科学的な知識と世に出ている見解だけでは「知っている」と言えないというのは考えさせられた。 旅とは出会いだ。一期一会が多いのも事実だろう。だからこそ、大事にしたい、その一瞬でもその人と人生が交わる瞬間を。そうすれば出会いこそ奇跡といえるだろう。

Posted byブクログ

2012/08/25

待望の文庫化。 数ヶ月前に、銀座教文館書店で年配の女性が「パラグアイという本を出している作家、えーと作家名が思い出せないんだけど」と店員に相談していて、どうやら作者がテレビで紹介されてそれで興味を持ってという話が聞こえてきて、こっそりと側で聞き耳を立てていたところ、「ご希望の本...

待望の文庫化。 数ヶ月前に、銀座教文館書店で年配の女性が「パラグアイという本を出している作家、えーと作家名が思い出せないんだけど」と店員に相談していて、どうやら作者がテレビで紹介されてそれで興味を持ってという話が聞こえてきて、こっそりと側で聞き耳を立てていたところ、「ご希望の本は絶版なんですよ、いまここで手にはいる本はこれなんです」と、店員は池澤夏樹全集のオレンジ色の本、チャトウィンの『パタゴニア』を女性に紹介しながら、謝っていた。さすが教文館の店員さん、パラグアイからちゃんとパタゴニアまでたどり着いた。 たぶんその女性のガッカリ感からすると、おそらくこの本の表紙をイメージしていたに違いない。表紙の写真が素敵すぎてズルい印象ですよ。みんなきっとこの表紙で買ってしまうのだ。たとえバッグパッカーじゃなくても。 ようやく文庫で再販されましたよ。 あの女性は手にすることができただろうか。

Posted byブクログ