古代オリエントの宗教 の商品レビュー
読売新聞の書評を見て購読。 中世南仏ではマニ教の流れを汲むカタリ派が流行して、アルビジョワ十字軍が勃発したといわれているので、本書にそのヒントがあるかと期待したのだが、残念ながら直接的な記述はなかった。 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2...
読売新聞の書評を見て購読。 中世南仏ではマニ教の流れを汲むカタリ派が流行して、アルビジョワ十字軍が勃発したといわれているので、本書にそのヒントがあるかと期待したのだが、残念ながら直接的な記述はなかった。 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%AB%E3%83%93%E3%82%B8%E3%83%A7%E3%82%A2%E5%8D%81%E5%AD%97%E8%BB%8D ヨーロッパ西方では旧約聖書(ユダヤ人の歴史)+新約聖書(イエスの一代記)が不思議なことにそのまま受け入れられた一方、東方オリエントでは様々な化学反応を起こして、サイドストーリーやサブストーリー化した様子(マンダ教、マニ教、ゾロアスター教、ミトラ信仰、イスラムなど)を知ることができ、格好の入門書だった。カトリックにはしばしば異教の信仰(たとえばクリスマスや聖人信仰とか)がみられるが、東進しつつこれらを飲み込んできたのもうかがえる。 なお、本書では「真のキリスト教」マニ教は3世紀だとしている。アルビジョワ十字軍が13世紀だったことを考えると、千年も潜伏していたと考えるより、イスラムによって復活したグノーシス主義が十字軍や交易によって広まったと考えた方が自然かもしれない。カトリック東進の流れからしても突然変異だったのであろう。 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AB%E3%82%BF%E3%83%AA%E6%B4%BE
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旧約聖書と新約聖書をセットとして聖書ストーリー(後にクルアーンも加わる)と名付け、この聖書ストーリーの伝搬が古代オリエントの宗教にどのようなインパクトを与えたかを描いている。オリエント諸民族の土着の神々と聖書ストーリーの影響下に生まれた異端の神が消えていき、ユダヤ教、キリスト教、...
旧約聖書と新約聖書をセットとして聖書ストーリー(後にクルアーンも加わる)と名付け、この聖書ストーリーの伝搬が古代オリエントの宗教にどのようなインパクトを与えたかを描いている。オリエント諸民族の土着の神々と聖書ストーリーの影響下に生まれた異端の神が消えていき、ユダヤ教、キリスト教、イスラム教に収斂されていく様子はダイナミックで興味深い。ゾロアスター教の二元論も聖書ストーリーの影響によるとの説には驚いた。聖書ストーリーという概念が、古代オリエントの宗教を理解するには最適であると納得できた。特に、オリエントを席巻したイスラム教を聖書ストーリーの完結として描いているのは説得力が有る。
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聖書ストーリーというキーワードを元に古代オリエントにおける宗教の伝播と興亡を描く それにしても、なぜユダヤ人のローカルな世界観から始まった一つのストーリーがこうも世界宗教へと広がって行ったのには驚きを覚える。 その影には多くの諸民族の固有のストーリーが消え去っていったのであり、聖...
聖書ストーリーというキーワードを元に古代オリエントにおける宗教の伝播と興亡を描く それにしても、なぜユダヤ人のローカルな世界観から始まった一つのストーリーがこうも世界宗教へと広がって行ったのには驚きを覚える。 その影には多くの諸民族の固有のストーリーが消え去っていったのであり、聖書ストーリーに組み込まれることによって民族のアイデンティティは失われたのであろうか。本書でも扱われている聖書ストーリーのローカル化も含めて示唆に富む内容でした。 講義の内容を元にしているので、少し掘り下げが足らないかなと思うところも有ります。
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古代イスラエル付近で発生した一神教が、オリエントの土着宗教に相対しながら、アメーバの如く伝播していく様を土着宗教ごとに章を立てて解説。 イスラーム内の細かい話しは難解だったが、概ね読み易かった。
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「古代オリエントの宗教」とはあるが、時代的には、2~3世紀から、旧約聖書・新約聖書の世界が、それまでにあった土着のオリエントの宗教世界に広がっていく10世紀程度のまでの様子を概説している本である。 なかなか難解な専門用語が多く、1つ1つの定義等がわからないことから概観を知ること...
「古代オリエントの宗教」とはあるが、時代的には、2~3世紀から、旧約聖書・新約聖書の世界が、それまでにあった土着のオリエントの宗教世界に広がっていく10世紀程度のまでの様子を概説している本である。 なかなか難解な専門用語が多く、1つ1つの定義等がわからないことから概観を知ることしかできなかった。そもそも新書1冊の分量で、マンダ教、マーニー教、ゾロアスター教、ミトラ教、イスラーム教のエッセンスを概観するのも詰め込んである感はあるが、序章での全体像を押さえるとそれぞれの宗教の立場が分かり、全体像をつかみやすい。 個人的に理解できたことは、「旧約聖書・新約聖書」のセットが、西にローマ帝国、東にペルシア帝国という地理的な関係で、ところによっては聖書の解釈が変化したり、聖書の話を取捨選択、追加するなかで、いろいろな解釈に応じた宗教が生まれることがあり、その代表的な5宗教をもとに、その関係を歴史的・地理的な面を含めて説明した本であるといったところか。 オリエントの歴史、キリスト教、ゾロアスター教等の周辺知識があれば、歴史の流れや関係性が分かって、面白いと思う。
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この辺りは不勉強なので何か言える立場ではないと思うのですが…。 少しでも知識がないと理解できない難しい単語が並び続けるのでとても読むのに難儀しました。 けど、読むのに難儀しただけで中身は難儀するほど難しくはないと思います。表がまた見にくくて…。 思ったよりも、主題について...
この辺りは不勉強なので何か言える立場ではないと思うのですが…。 少しでも知識がないと理解できない難しい単語が並び続けるのでとても読むのに難儀しました。 けど、読むのに難儀しただけで中身は難儀するほど難しくはないと思います。表がまた見にくくて…。 思ったよりも、主題についてサラッと流した本だと思います。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
よほど、こういうことに興味がないと、読了するのは辛いと思う。自分も辛かった。しかし、福建省の山奥にマニ教徒らしき人々が暮らす村が発見されたという話には驚いた。
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西アジアにおいてユダヤ教・キリスト教がイスラム教へと変遷する過程を「聖書ストーリー」を軸に解説している。本書で扱われているのはマンダ教、マーニー教、ゾロアスター教、ミトラ信仰、イスマイール派。それぞれ「聖書ストーリー」を取り込もうとしたり、逆に取り込まれてしまったり、あるいは完...
西アジアにおいてユダヤ教・キリスト教がイスラム教へと変遷する過程を「聖書ストーリー」を軸に解説している。本書で扱われているのはマンダ教、マーニー教、ゾロアスター教、ミトラ信仰、イスマイール派。それぞれ「聖書ストーリー」を取り込もうとしたり、逆に取り込まれてしまったり、あるいは完全に拒絶したりと反応は様々である。それ故に「聖書ストーリー」のもたらしたインパクトの大きさが伝わってきた。これら古代オリエントの土着信仰に「聖書ストーリー」与えた影響、あるいは「聖書ストーリー」が何を吸収したのかを読み解こうとしているのだが資料が圧倒的に少ないため推測が多くなっているのはしかたのないところか。推測については筆者として特定の説を推している場合もあるが、別の説も紹介しているためバランスはとれている。
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