デ・トゥーシュの騎士 の商品レビュー

ジュール・バルベードールヴィイ【著】,中条省平【訳】

2013/07/16

作者ドールヴィイはフランス19世紀のデカダンな小説家とのことだが、本書はフランス革命直後の時期をえがいたもので、大時代的な言い回しなどもあって、もっと古い感じがした。
ただし、異様な特徴がいくつかあって、女性性から大きく逸脱した女性や男性性からかけ離れた男性と、性別がおかしくなってしまったような、妙な世界になっている。それと、妙に残酷でグロテスクな場面もあって、なるほど、19世紀前半の雰囲気ではない。
ラストの方の意外な展開も印象的だった。この作家は何かがおかしいのだと思うが、これ1作では評価しきれない。不思議な小説だった。