変わり者でいこう の商品レビュー
まだ、アスペルガー症候群という発達障害が世間に認められていなかった著者の幼少期、「普通の」子と同じようにできない自分に悩み苦しんだ著者が、大人になって診断を受け、自分の抱えていた問題の根源を知り、またそこに至るまでにどのように困難を乗り越えていったかを記したエッセイ。 前著の『眼...
まだ、アスペルガー症候群という発達障害が世間に認められていなかった著者の幼少期、「普通の」子と同じようにできない自分に悩み苦しんだ著者が、大人になって診断を受け、自分の抱えていた問題の根源を知り、またそこに至るまでにどのように困難を乗り越えていったかを記したエッセイ。 前著の『眼を見なさい!』に続いて2作目。 身近に当事者がいる私にとって、著者のふるまい、それによって引き起こされる周囲との軋轢、その苦労は非常によく理解できる。 ただ、でもおそらく、著者はアスペルガー者の中でも度合はそれほど強い方ではなさそうだ。そのあたり、他人と協調し合いながら経営者として成功している理由の一つではないだろうか。 それでも、著者のように社会で成功できるか否かは別にして、立ちはだかる困難を、持ち前の論理思考をフルに働かせてひとつひとつ排除すべく工夫に工夫を重ねる様子は、今アスペルガーに苦労する当事者、その周囲の人々、また診断を受けるに至っていないが「何かおかしい」と気づきながら手立てを打てずにいる人にとって、非常に勇気づけられるよき指南書となることは間違いない。 診断を受けることが、ただのレッテル貼りではなく、特性を知り、それをうまく活かすほうへ考え方も行動も変えていける第一歩になる、そんな風に締めくくっている。 当事者ひとりひとりが、自分に合った困難を乗り越える方法を見つけ、いるべき場所、よき理解者に巡り合い、自信をもって社会で生きていってくれたら、と切に願う。
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