金星で待っている の商品レビュー
劇団といえば、若者が青春をぶつける先の代名詞のようなものだと思う。 劇団のメンバーはみんな個性的で、劇団ごとに色も違う。 どの劇団を選ぶのかは人それぞれ。 一度劇団に入ってしまえば、その劇団員として、劇をより良くしていくために青春するのです。 本作もそんなお話。 金星人なんて...
劇団といえば、若者が青春をぶつける先の代名詞のようなものだと思う。 劇団のメンバーはみんな個性的で、劇団ごとに色も違う。 どの劇団を選ぶのかは人それぞれ。 一度劇団に入ってしまえば、その劇団員として、劇をより良くしていくために青春するのです。 本作もそんなお話。 金星人なんて突拍子のない設定もあるけれど、一言で言えば、劇団での苦みの効いた青春ということに尽きる。 前半は若干単調になるけど、中盤過ぎたあたりから話が動き出し、そのままラストまで突っ走る。 自分の限界を勝手に決めそれ以上のことは見向きもしなかった人たちが、その限界を超えていくあたりはいかにも青春な熱さがあってとてもいい。 読後感もすがすがしくて、演劇を見に行きたくなりました。 今度探して見に行ってみようかな。 不満点を挙げるとすれば、少しさっぱりしすぎで展開が弱いかなと感じることもあった。 せっかくの題材なんだから、もっともっと爽やかにしても良かったんじゃないかな。
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「小劇場・小劇団」というのは、昔から、そして今でも、よくわからない存在です。 だから、この小説の中に描かれている小劇団は、これはこれでリアリティがあるのだろうとも思うのだけど、ちょっとばかし、ついていけない。 うーん。 有川浩の『シアター!』と、恩田陸の『チョコレート・コス...
「小劇場・小劇団」というのは、昔から、そして今でも、よくわからない存在です。 だから、この小説の中に描かれている小劇団は、これはこれでリアリティがあるのだろうとも思うのだけど、ちょっとばかし、ついていけない。 うーん。 有川浩の『シアター!』と、恩田陸の『チョコレート・コスモス』を足してみたらこうなった、という感じなのか。 決して面白くなかったわけではないですが、取り立てて特筆すべきこともないです。 まさかの丸々2ページ、紙一枚分、真っ白、なんてことをやらかしたり、演出として面白いと思ったのかもしれないけど、ちょっといただけないです。 空気を演出したいなら、それを文字で表現するのが小説です。 著者は元々、小劇場出身の劇団系の方らしいので、ちょっと肩入れしたくなったのですが、うーん。 私見ですが。 小劇団というのは、僕、かなり乱暴な言い方になりますが、『ONE PIECE』の、海賊団みたいなものだと思うんです。 大小様々な劇団がいて、好き放題暴れまくる奴らがいるかと思えば、周りのことを考えたり、現地の人のために戦ったり、あるときには力を合わせて、あるときは敵対して、でもそれぞれの集団(劇団・海賊)に対する仲間の気持ちとかがあるから、テイストがまったく違っても、別の海賊団に憧れるのではなく、あくまでも自分たちの集団で、必死で頑張ってもがこうとする。 そして、嬉しいことがあったら、とにかく歌って騒いで飲むんだ!という、まあ、世間様から見たら社会からドロップアウトしているように見えるかもしれないんですが、いちいち本気だし、いちいち楽しいんです。 その中には、この作品に出てくるように、才能に寄っかかって、いいものを作っていればいい、みたいなところも当然あるだろうけど、それが、先に挙げた二作品に出てくる劇団とも共通するんですよね。 どうしてこう、小説で演劇を扱うと、暗く芸術的なものを目指して、崩壊していく様しか描かれないのか。不思議でしょうがない。 エンタメ系の劇団は、まあ、小劇場界では糞味噌に言われるのが宿命とは言え。 ルフィ海賊団のように、腹の底から楽しいめちゃくちゃな小劇団の芝居、そういう本を、自分で書かなくちゃと決意を新たにしつつ、そういう意味では読んで良かった本だな、と思います。 小劇場系の芝居のこと、知らないのであれば、一読してみても面白いかもしれません。 が、全体のテイストが若干暗めなので、「そういうのだけじゃないんだよ、最近は、もっとバカみたいなエネルギーしかない劇団の方が多いんだよ」ということだけ、心の片隅にでも、ご承知おきいただければ。
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演劇の専門知識はなかったが、興味深く読めた。 キャラ立ち、構成の丁寧さ、短い章立てによるテンポのよさ、どれもよかった。 金星人との交流に少々の物足りなさもあったが、その分主人公の成長が全面に押されていて、とても前向きな気持ちになれた。 素直に読める作品だと思う。
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作者が、中の人ってのが強く出過ぎ。思いは解らんではないけど、読んでいくうちにお腹いっぱいになる。演劇ファンなだけに・・・。危機意識は共感する。
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