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アラブ革命の遺産 の商品レビュー

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2012/05/16
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長沢栄治『アラブ革命の遺産』、大著だったけど一気に読んだ。 ジャスミン革命の話ではない。 その60年ほど前のパレスチナ戦争とエジプト7月革命の歴史を追ったもの。 わたしみたいにアラビア語のできない人間にはちょっと想像できないほどの一次資料を駆使したもので、 とくに名だけは知っていたアハマド・サーディク・サアドの為人や思想、 その個人史についてよく知ることができる。 まずユダヤ系エジプト人であったことを知らなかったし、 それがほとんど「転向」ともいうべきアラブ・ナショナリズムへの傾倒、 イスラームへの改宗にいたる経緯など、よく追っている。 ここでも「振幅」が現れるわけだぬ。 対比されるのは悲劇的なアクティヴィスト、ヘンリ・クリエルだけれども、彼もユダヤ人であって、 実は半世紀前のイスラーム革命に元異教徒が大きく関与していたということは なにかしらの示唆を与えるものだと思う。 高いけどよく読まれるべき本。

Posted byブクログ