発送電分離は切り札か の商品レビュー
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※このレビューにはネタバレを含みます
発送電分離について専門家が著した本で、非常に深い考察と幅広い知見から書かれていて、非常に勉強になる本。 ・構造分離型のメリットとして、営業テリトリーとは別に水平連携が可能となる。現在エリアごとに分かれているものの強調が進むようになる。 ・垂直統合型は、電源ありきで高度成長には適していたが、構造分離型は設備稼働率を上げることに主眼がおかれ、各主体がそれぞれの最適化を求めるものとなる。成長が下がった時により適する。 ・広域でデマンドレスポンスをできると、遠隔地とで調整ができ、環境負荷が少なくなる。現在のような出力調整だけではなく、需給調整ができるようになる。 ・スマートコミュニティを開発する際には、新たなサービスプロバイダーが配電網を利用したサービスを提供できるかが大きな問題 ・スマートグリッドは送電網に通信網を重ね合わせることで送電事業者や卸電力市場の参加者の効率性が高まる高圧部門のビジネスと、配電網に通信網を重ね合わせることで配電事業者や家庭のエネルギー利用が最適化される低圧部門のビジネスがある。いずれにしろ送電網と配電網への第三者アクセスができなければ、これらのビジネスは電力会社だけのものとなってしまう。 ・スマートグリッドのメリットは 電力会社にとっては自社設備の管理が効率化するメリット、 重要家・消費者にとっては節電・節約が可能になるメリット、 電力供給が安定化する電力システム上のメリット 新たなエネルギー市場が生まれる社会メリット がある ・スマートメーターは垂直統合の方が高価格で高速で高機能なシステム導入可能だが、消費者のメータ・データを使った新規ビジネス展開は制約されるし、恣意的な料金の見えるかが起こる可能性もある。 ・スマートグリッドの開発は送電と配電の中立性・公平性、オープンアクセスを利用した新規参入者が主体となる。メリットは上記のとおり。 ・スマートメーターは電力に限らず、他の公益サービスでも導入が検討されている、他に家庭向けサービスとして、防犯・防災、ヘルスケアなどとの親和性も高いと考えられる、。これらのサービス提供主体(電力・ガス会社、自治体、消防・警察、病院など)を通信ネットワークでつなぎ、これらを管理するインターフェイスを整備すれば生活にかかわる多くの情報を通信ルートを通じてやりとりできる。 ・送電網と配電網が自由化すれば、どのエネルギーは地産地消するのか、どのエネルギーはだれに販売するのかどこまで運ぶかという選択肢が広がる。 ・東アジアエネルギーネットワーク構想(East Asia Network of Energy Systems)がある
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