ふたり、幸村 の商品レビュー
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鷹の視点などは物語を不思議な感覚に連れていくが、読んでいる方はうざったく感じた。幸村についても年月が飛びとびで書かれていて、登場人物に深みがなく、愛着を感じなかった。ただ、最後の一文はよかった。
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※このレビューにはネタバレを含みます
なぜ真田信繁は幸村と呼ばれるようになったのか? 要するに、もともと別人であったのが混同されるようになった、ということらしいんだけど、それはどうなんだろう? 間違えて呼ばれたら訂正しないか? 夢の世界と現実の世界が入り乱れていたり、突然時代が飛躍したり、ちょっと読みにくい感じもありました。 常人から見れば神の視点を持っているとも見える軍配者たちが、文字通り神のように登場してくるのにはワクワクしましたが、皆さんが書かれているように、真田だからと合戦ものを期待しているとガッカリします。
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SF作家が書いた歴史もの、流石に一筋縄ではいかない。真田十勇士の話なので、忍法とか合戦とかを期待して読む向きには全く向いていない。明らかに意図的に、その向きを敢えて除外して、飛ばして書いているのは確信犯的である。では、面白くないかというと、戦国時代で命のやり取りを行う当事者同士が...
SF作家が書いた歴史もの、流石に一筋縄ではいかない。真田十勇士の話なので、忍法とか合戦とかを期待して読む向きには全く向いていない。明らかに意図的に、その向きを敢えて除外して、飛ばして書いているのは確信犯的である。では、面白くないかというと、戦国時代で命のやり取りを行う当事者同士が、実に屈託なく、恨みつらみも無く次のシーンでは語り合うやり取りが良いのだ。話は何故、幸村という名前が定着してしまったのかという真田の次男坊の話で、実は二人いたのだという、今まででも、ありそうな着想ではあるが、二人いたということの必然性とか裏が全く語られない。自然とそうなったという解釈は新鮮である。また、神のごとく登場する鷹と馬も名脇役。10勇士を登場させたいという作者の意図は分かるが、入道は難しかったのか、また、母親の名前が苗字になるというのは、少々、こじつけかな。それにしても筧十蔵は出てたかな?
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最後の幸村の言葉は『神獣聖戦』のある作品のラストを思い出させます。 幸村ということで、血湧き肉躍る話を期待すると拍子抜けするでしょう。合戦部分はばっさり切り落としてるし。 描かれるのは、戦国乱世の終焉に立ち会う天才軍配師の才を持った人間の物語とでも言うべきか。乱世の軍配師のよう...
最後の幸村の言葉は『神獣聖戦』のある作品のラストを思い出させます。 幸村ということで、血湧き肉躍る話を期待すると拍子抜けするでしょう。合戦部分はばっさり切り落としてるし。 描かれるのは、戦国乱世の終焉に立ち会う天才軍配師の才を持った人間の物語とでも言うべきか。乱世の軍配師のように、人であり神であり魔となる才がありながら、最後まで人であった男の話。 その一生を常に神の視点から見つめる鷹。山田正紀ですから、神は見てるだけで何もしてくれないけど。 講談とか風太郎ばりの小説書けるのに、あえてそれを避けて淡々と語っているのが逆に新鮮。 もっともいろいろニヤっとする仕掛けが潜んでいますけどね。
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この作家の小説は私にはどうも読みにくい。夢の世界と現実の世界が混ざり合って、幻想的と言えばいいのか、散文的な私には苦手な世界だ。 しかし、テーマが真田ということになれば、読んでみたいと思うのである。この小説の中で解かれる謎はなぜ真田信繁が後世幸村と呼ばれるようになったのかというこ...
この作家の小説は私にはどうも読みにくい。夢の世界と現実の世界が混ざり合って、幻想的と言えばいいのか、散文的な私には苦手な世界だ。 しかし、テーマが真田ということになれば、読んでみたいと思うのである。この小説の中で解かれる謎はなぜ真田信繁が後世幸村と呼ばれるようになったのかということであろうが、説得力としてはいまひとつではないか。タイトルでも示されているのでここで説明してもいいかとは思うが、ミステリー解説の常識としては遠慮すべきだろう。 代わりに私見を書こう。今幸村の兄である信之が藩祖となる松代藩の歴史を調べているのだが、この松代藩の記録の中に「幸村」の名が見えると山田正紀氏は書かれている。
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たとえば『真田太平記』、あるいは講談の真田十勇士のような物語を期待して読むと、肩すかしと感じるかもしれない。 諏訪湖の御神渡りの情景から始まる冒頭。神鷹を従える禰津、尋常ならぬ鉄砲術を持つ海野、神秘の軍師望月、すでに滅亡した諏訪の血脈をひく若者。神話を予想させる滑り出しだが、...
たとえば『真田太平記』、あるいは講談の真田十勇士のような物語を期待して読むと、肩すかしと感じるかもしれない。 諏訪湖の御神渡りの情景から始まる冒頭。神鷹を従える禰津、尋常ならぬ鉄砲術を持つ海野、神秘の軍師望月、すでに滅亡した諏訪の血脈をひく若者。神話を予想させる滑り出しだが、彼らは老いるまでついにいわゆる「華々しい」場面を描かれることはない。 代わりに綴られるのは、くどいほどの自然であり、その自然に拠って在る人間の宿命。「物語らしい」物語はなく、文体も相まって決して読みやすいとは言えないが、いったんリズムにのれば、快楽と言えるほどの愉しみがあった。 作者の新たな試みとしてはかなり面白いと思うし、一方で戦国時代終焉の仕掛け、また信繁・幸村の解釈に対して現代(作者)の視点を(ことばは悪いがぬけぬけと)持ち込んでいる部分に対しては、この作者ならではの手つきを感じた。 巷間の真田物の知識が前提となっているような気もするが、それを知らないひとがどのように感じるのか、広く読んで欲しいと思う。 カバー及びカバーを外した本体の表紙絵(藤原ヨウコウ)が誠に美しい。
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