大正大震災 の商品レビュー
第一章「天誅論をめぐって」 ・関東大震災でもあった「天誅論」。その主張と反論と再反論。時代は意見とともに分析。 ・日本人的心理作用 第二章「漠然とした予感」 ・時代背景など。 第五章大坂の輝きー帝都と「中立派」の構想 ・遷都 ・遷都構想にまつわる諸問題。政治家、官僚の戦い。 ...
第一章「天誅論をめぐって」 ・関東大震災でもあった「天誅論」。その主張と反論と再反論。時代は意見とともに分析。 ・日本人的心理作用 第二章「漠然とした予感」 ・時代背景など。 第五章大坂の輝きー帝都と「中立派」の構想 ・遷都 ・遷都構想にまつわる諸問題。政治家、官僚の戦い。 ・仮に「遷都」がなっていらたどうなっていたかを考える。 大正大震災(関東大震災)についてさまざまな点から分析。 一部、興味のないところがあったので、とばし読み。 全体的に興味深かった。 被災した人間の心理。 「帝都」を襲う闇の部分。
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入荷先:目黒区立八雲中央図書館 ここで記されている「大正大震災」というのは俗に言う「関東大震災」のことである。著者は本書の書名や主題としてこの俗称「関東大震災」ではなく「大正大震災」を位置づけることによって、「大正」という時代の思想に横たわる活断層の存在に留意せよと喚起している...
入荷先:目黒区立八雲中央図書館 ここで記されている「大正大震災」というのは俗に言う「関東大震災」のことである。著者は本書の書名や主題としてこの俗称「関東大震災」ではなく「大正大震災」を位置づけることによって、「大正」という時代の思想に横たわる活断層の存在に留意せよと喚起しているのである。 この活断層、尾原は「近代と国民国家の間に放り出された人々の戸惑い」と見なしている。というのも、そもそも近代社会のフレームそのものがこの断層の上に乗っからざるを得ず、「断層」が存在することそのものを認識するには言葉が足りないため、忘却するほか手段がないのだから仕方ないともいえようか(そしてその14年後には空爆によってひとつ積層を積み足すことになった)。 そうした尾原の思索の営みは、安直な「歴史の現代的意義」やら、「災害ユートピア論」やら、「ショックドクトリン」やらといったような現在の状況にフィードバックすることの危うさと向こう見ずの蛮勇に対する警告となって読み手に伝わってくる。旗振り役やその旗の正当性に血なまこになって一喜一憂する人々だけでは、見えてこないばかりか見ようともしない人間や死体の存在、その両方が「断層」の構築に加担しているというわけだ(その意味で櫻井よし子とナオミ・クラインは同じ穴の狢なのである)。 尾原はあえてこんな皮肉を述べる。「東日本大震災」という震災への名称は、「大正大震災」と「関東大震災」の並列関係の反語に当たると。国民国家と近代社会の間に横たわる断層を見ずにして、「復」は存在しないのである。
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