IN の商品レビュー
(2009/12/2) この桐野さんって人は、どうしてこう人間の嫌らしい、おどろおどろしいところを描けるんでしょ。 今回のこのINってのは、12年前に桐野さんが書いたOUTとどういう関係なのか、OUTを読んでいないのでわからないが、主人公の小説家が別の小説家の人間模様を取材する話...
(2009/12/2) この桐野さんって人は、どうしてこう人間の嫌らしい、おどろおどろしいところを描けるんでしょ。 今回のこのINってのは、12年前に桐野さんが書いたOUTとどういう関係なのか、OUTを読んでいないのでわからないが、主人公の小説家が別の小説家の人間模様を取材する話になってる。 INの中に、取材対象の小説家と奥さん千代子と愛人「○子」との間の嫉妬を赤裸々に描いた小説が登場する。 そして主人公自身も家族を持ちながら編集者とのっぴきならない関係になり、別れている。 そういう二重構造になっている。 取材対象の奥さんと愛人はすさまじい。けだもののようですらある。たくましい。本能のまま生きているよう。 どうもこの主人公作家の描き方がちょっと弱いのか、なんとなく物足りない。 INは淫に通じている。 夏生って、なつおと読むのか。なつきと思ってた。 評判の高いOUTも読むかな。
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作家が作家を書くのだから、すごく複雑な問題が多いのでしょう。俗物な私にはかなり難解です。それにしても、この緑川という男、酷い。でも、登場する女性たちにとっては愛さずにはいられない存在らしい。人間は複雑ってことかな。
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⚪︎子が誰なのか気になりすぎて他あまり集中できずに終わった。不倫という男女関係の奥深い世界には入り込めず。。
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作家が作家を描く様子がなるほどと思った。 愛と憎しみは紙一重のように思った。 誰にも感情移入はできなかったけれど、同じような立場になったらきっとまた違うんだろうな。
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結婚し三児ををもうけながらも、女性の噂が絶えなかった小説家緑川。 彼が私生活を赤裸々に綴った小説に出てくる愛人○子のことを題材に小説を書こうとする彼女もまた かつて編集者と不倫の恋に溺れていた時期があった…。
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不倫をする男は皆、卑怯者… 凄い作品に出会ったと思います。何年か後にまた読みたいです。 桐野さんの作品を読んでいると、今まで気づかなかった、というよりは、気付くことをしようとしなかった人間の深い部分を突きつけられ、いつもハッとさせられます。この作品はそれが全体的に感じられ、ミス...
不倫をする男は皆、卑怯者… 凄い作品に出会ったと思います。何年か後にまた読みたいです。 桐野さんの作品を読んでいると、今まで気づかなかった、というよりは、気付くことをしようとしなかった人間の深い部分を突きつけられ、いつもハッとさせられます。この作品はそれが全体的に感じられ、ミステリー以上に、“作家”という生き物の怖さにゾクゾクしました。
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圧倒された。実際には文庫本一冊分なのに、読後とても長い旅を終えたような気分だった。主人公がそのような感慨を持っているからかもしれないが。 桐野夏生といえば女を描く作家だと思っていたが、やはりそれは当たってると思う。出てくる女性の人物像の濃いこと。情念は厚く、業は深く、一筋縄ではい...
圧倒された。実際には文庫本一冊分なのに、読後とても長い旅を終えたような気分だった。主人公がそのような感慨を持っているからかもしれないが。 桐野夏生といえば女を描く作家だと思っていたが、やはりそれは当たってると思う。出てくる女性の人物像の濃いこと。情念は厚く、業は深く、一筋縄ではいかない女ばかり。 男は比較すると薄く儚く思えるくらいだ。 謎解き要素のあるエンタメ性の高い大筋と、主人公が元愛人との愛を抹殺しようという試みが並行し絡み合い、事実をどう認識するかという人間の性と、作家が現実とフィクションを行き来する現象も描き込まれ、厚みのある小説であった。 お腹いっぱいです、桐野先生。
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島尾敏雄のあの小説『死の棘』を思わせる「小説中の小説」の愛人はだれか? と作家が推理していくストーリー。 奥さんを精神的にめちゃくちゃに嫉妬させた相手なのに、 姿かたちも性格もなにも表されていない。故意に忘れられたのか? なるほど目のつけどころだわ。 しかし、この小説にも忘...
島尾敏雄のあの小説『死の棘』を思わせる「小説中の小説」の愛人はだれか? と作家が推理していくストーリー。 奥さんを精神的にめちゃくちゃに嫉妬させた相手なのに、 姿かたちも性格もなにも表されていない。故意に忘れられたのか? なるほど目のつけどころだわ。 しかし、この小説にも忘れられた存在が...。 ミステリーではないのだけれども。
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事実を人が書くことによってフィクションへと変化する。 「あー、、、納得」と思いました。 そして一つのストーリーは一人の目線で書かれるより、様々な目線のほうが面白い。 そこに第三者目線が入ると尚の事。
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女性作家で、ここまで男性の欲、甘え、卑劣さ、魅力を描けるのは、桐野夏生だけではなかろうかと思わずにいられない。諸外国の男性がどうかはわからないが、こと日本人男性が女性に望むことを、桐野夏生はよく感じ取っていると思う。 『無垢人』の謎を解き明かす一方で、それにまつわる人々の関係性に...
女性作家で、ここまで男性の欲、甘え、卑劣さ、魅力を描けるのは、桐野夏生だけではなかろうかと思わずにいられない。諸外国の男性がどうかはわからないが、こと日本人男性が女性に望むことを、桐野夏生はよく感じ取っていると思う。 『無垢人』の謎を解き明かす一方で、それにまつわる人々の関係性にスポットライトを当て、鮮やかに描く。 殺人などのスリリングな展開を期待している人には物足りないが、それを遥かに超える、人の心の内を覗ける貴重な作品だと思う。
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