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黄金時代 の商品レビュー

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2023/05/13

文化大革命の中国において、雲南省の農村に下放した20歳の青年と26歳の美人女医の「ふしだら」な関係の顛末を描く。この青年・王二は著者自身を連想させる。2人性愛三昧の生活を繰返し、監禁後には「罪」を告白する自己批判書を書かされ、「吊し上げ集会」で弾劾される。露悪的に性愛を「罪深い行...

文化大革命の中国において、雲南省の農村に下放した20歳の青年と26歳の美人女医の「ふしだら」な関係の顛末を描く。この青年・王二は著者自身を連想させる。2人性愛三昧の生活を繰返し、監禁後には「罪」を告白する自己批判書を書かされ、「吊し上げ集会」で弾劾される。露悪的に性愛を「罪深い行為」と表現するとともに、2人の間では「友情を深め合う、友情を究める行為」と表現し合っているところが皮肉的なユーモアを感じさせるところ。糾弾する改革派が自己批判書を読み、更に詳細な書き方を求め、また批判集会でのエロス感情丸出しに野次馬覗き姿勢に強烈な皮肉が込められる。2人の関係が始まったそのきっかけそのものが、美人医師が「ふしだらな女」と呼ばれていたことへの反抗心のようなところから始まっているのだ。そして20年後、北京で再会した2人は再び性交を行うとともに、当時を回想し、あのころが「黄金時代」だったと語り合う。決して暗黒時代とは呼ばないことに、文化大革命の中での、知識的庶民の冷めた達観的な心境、そして性の乱れという共産中国にあるまじき実態?を描くことに著者の強烈な皮肉を感じる思いがする。 「三十而立」「流れゆく時の中で」の2作品も王二の30歳過ぎ、40歳の姿で、やはり女性との関係が中心で黄金時代の延長線上。「白銀時代」は別の主人公になり、分かりづらかった。

Posted byブクログ