まんかいのさくらがみれてうれしいな の商品レビュー

黛まどか【編】

2012/08/18

被災地で詠まれた一般の皆様方の句が収集されている。一句一句がまごうかたなき真実、真情を詠ったものだ。震えるような涙が自然とこみあげてくる。災害をマイナスと受け止めているところから作品は生まれない。どん底から立ち上がるエネルギーが不朽の名作となる。自然という大いなる存在に身を任せ、四季の移ろいに自らの命のありどころを確認し、自然から再び生きる力を貰っている。震災はすべてを奪っていったが、震災あればこそ生まれたものもあるのだと実感した。

2012/07/21

『まんかいのさくらがみれてうれしいな』

ら抜き言葉を定型詩に使うなんて、普段だったら「許せない」ことなのですが、避難所暮らしの子どもが作った俳句と来ては、許すも許さないもないです。この子のために、「うれしいな」という言葉が出てきたことを祝福したいと思います。

『避難所へ抜ける近道花万朶』

という大人の作品もあります。大人になるというのはこういうことかと思います。身の内の海を傾けて、泣きたくなるような一句です。