さよならのためだけに の商品レビュー
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管理され過ぎた世の中はどんどん人間を幼くしていく。そんな風に感じました。 序盤の水元と月はどちらも読んでいてイライラする程子供だし自分本位でしたからね。 自分に降りかかる災難は全て他人のせい、他人がどうにかすべき、とでも考えているようで。 設定が何となく面白そうだなと思って手に取ってみた小説だったのですが、 ちょっと(かなり?)期待外れだったなあ。PM社の策は国家にも多大な影響を与えるって設定なのに セキュリティもPM社の一般社員である乾がどうこうできるくらいユルユルだったり カウンセリングと称した洗脳をちょっと録画されただけで放火を起こしてまで公開を阻止しようとしたり。 こんな技術が発達した世界観なら、それくらいの不安因子はどうにでもできなきゃおかしいでしょう。 そもそもお話に緊張感がありませんでした。優生思想とか国家機密とか言ってることは大仰なのに スポットが当てられてるのが個人間の離婚ですからね。勿論そこから波紋が広がっていくとも取れますが こんな倫理的に穴だらけの思想、ここまで発展を遂げている時点で不自然過ぎますよ。 それまでに何の暴動もなかったの?誰一人強く異議を唱える人はいなかったの?ってね。 それらをすっ飛ばして本編に至った時点で、緊張感はどうしても生まれてこないと思うんです。 ラスボスが子供で、女性のビンタ一発で本当の恋を知る、って展開もあまりに漫画的。
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遺伝子レベルの相性診断で結婚相手を見つけるのが当たり前になった時代。特A判定のカップルが離婚することになったのだが簡単ではなかった。離婚するために協力することになった二人の運命は・・・。わかりやすい話だけど面白い。ハサミ男しか読んだ事がなかったので我孫子さんのイメージも変わった。
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電子的な方法で登録された個人情報をもとに、結婚に適正な人物を割り出し、その結果に従い『結婚』をすることが常識になっている日本が舞台。 現代の少子晩婚化問題を題材にしたファンタジー小説なんだけど、凄くリアルであり得そうな内容が面白くてわりと厚かったけど一気に読み終えました。
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少子晩婚化にストップをかける為、国策により男女の相性判定を行う近未来の日本が舞台。 ちょっと東野圭吾作品っぽい。ただ、このワンテーマで長編にするのは無理があるような気がする。 我孫子氏には、鞠夫シリーズのような作品をまた書いてほしい。
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結婚仲介が国の施策になり、マッチングした相手との相性はほぼ100%のシステム。 でもマッチングシステムへの疑問だとか組織への反抗みたいのが殆どで、なんか物足りない。 確かに男女それぞれの視点で気持ちの変化などいろいろ語ってはいるが、男視点の視野が狭すぎる感があったかな。
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久しぶりに我孫子武丸さんの本を読みました。 結構殺伐としたイメージがあったのですが、これは読み終わってほっこりました。 文章もスピード感があってさくさく読めるし、最後は落ちるところに落ちて面白かった。 本当にこういう世の中になったらちょっと怖いですが。
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学校の図書館で借りて、文庫本を購入した本。 近未来的な恋愛を題材にした内容でした。 賛否両論あると思うけど、私としては、コミュニケーションを取るのが面倒くさい部分があるから物理的なものでそういうものが決まってくれたら楽なのに…と変に納得してしまった。 主人公の女のひとのように、芯の強い人間だったら違うんだろうけどな。 優生学というものも、恐ろしくもあり、興味を引き付けられる部分。 生物学的に人間以外には当然研究されていると思うけど、やっぱり人間になるとタブーの域になるのだろうな。 最後らへんが何となく予想できて、少しSFが行き過ぎた内容だったけれど、今後の恋愛について考えさせられるものだったから面白かった!!
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じつは恋愛と遺伝子は密接に関係を持つと思っています。ロンドン大学でそれを研究していた友人の影響かもしれません。 なので、人間が自分よりより良い種を保存したくて、恋愛して子孫をなすのだと。 しかし、それが国策となり、大企業によってコントロールされる世の中。どうなんでしょう。 ただ、...
じつは恋愛と遺伝子は密接に関係を持つと思っています。ロンドン大学でそれを研究していた友人の影響かもしれません。 なので、人間が自分よりより良い種を保存したくて、恋愛して子孫をなすのだと。 しかし、それが国策となり、大企業によってコントロールされる世の中。どうなんでしょう。 ただ、この話はそれをシリアスに社会的立場から書いたものではなく、半ばコメディータッチなので、時折わらえるエンターテイメントとして、かなり面白かったです。
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近未来、遺伝子判定で理想のカップルが決められて、その結婚が普通として成立する世界。主人公たち夫婦は新婚旅行から帰ってきて、たちまち離婚を決意します。でも、判定で選ばれた二人の離婚はありえない。様々な邪魔が入りながらも離婚方法を模索していくと、そのシステムには国民には明かされていな...
近未来、遺伝子判定で理想のカップルが決められて、その結婚が普通として成立する世界。主人公たち夫婦は新婚旅行から帰ってきて、たちまち離婚を決意します。でも、判定で選ばれた二人の離婚はありえない。様々な邪魔が入りながらも離婚方法を模索していくと、そのシステムには国民には明かされていない真の目的があって…というお話。 長さを感じさせず、サクサク読ませてくれるテンポの良い逸品です。個人的にはちょっと展開が早すぎるような気もするのだけど、冗長なよりはずっといいかな、なんて思います。もちろん、文章自体が短いわけではないですよ。 「利己的な遺伝子」、界隈の話を知っている方なんかですと、結末は先読みしやすいかもしれません。でも、結末でどんでん返しのあるミステリというわけでもないですし、過程もとにかく展開が早くて読みやすいので、逆恋愛小説としてお薦めです。こんなコメディドラマがあったら見てみたいなあ。…意外とそういう想定だったりして。 最後に。 こういう世界を通して、愛することとはどういうことなのか、結婚するとはどういうことなのか、と語られます。物語冒頭から離婚するために頑張るという逆恋愛物語と書きましたけど、結局のところ、やっぱり人を想う恋愛小説です。 殺伐となんかしないコメディタッチなので、色々な方にお薦めします。
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