発達障害と向き合う の商品レビュー
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2012年刊。 著者は特別支援学校勤務の特別支援教育士スーパーバイザー。 本当に久々の発達障害関係本。 症状の外形的表れ方でアスペルガー症候群とも、注意欠陥多動性障害とも、自閉性スペクトラム症候群とも称される発達障害。 脳機能の先天的障害に起因する本症候群につき、著者は、「聴力的記憶(短期の記憶)の機能不全」と見て解説を加えていく。 この点、本書の診断方法や各種症候群の解説に特に異論はないのだが、新書で子供の教育問題から「大人の発達障害」、その社会的対応策まで議論するのは、風呂敷を広げ過ぎの感が強い。 これでは療育現場を俯瞰してみることのできる特別支援学校の勤務歴が活きてこない。 加えて、後半は、社会制度の議論ではなく、関係構築の対処方法という体験談的な叙述に止まっているのが残念だ。 もっとも、アスペルガー症候群を含め、これら広汎性発達障害に罹患する人々に対する、社会的認知の誤謬を多少なりとも正すには、こういう書が不可欠なんだろうなぁとも思う。 本書の叙述の誠実性は買いだからだ。 個人的には、頭頂葉の機能不全、入力情報の選別の困難性(例えば、賑やかな繁華街や電車内で、知人の声を聴き分ける力)が、通常の記憶容量を遥かに超える情報入力を来した。 結果、海馬を含めた記憶(特に短期)の作業を、それこそ乳児期から行い得なかった結果、記憶の力の成長を妨げられてしまったことが障害要因という印象を持っている。 そういう意味で、聴力的な記憶力に問題があって、それが学習や関係性構築の困難を招来しているとの著者の目の付け所は納得のそれである。
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複数ある発達障害に関する本の中で、大分読みやすい本だと思う。発達障害の人の考える経緯が書いてあるし、子供~大人まで、幅広く対応している。 自分自身、当てはまる項目が多すぎる…。
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がっつり引き込まれました。 「発達障害とは何か」の考察が、丁寧でわかりやすかったです。 聴覚的短期記憶の障害、という認識は今までなかったので、示されてみて「そうか、なるほど」とすっきりしました。 多くの学びが得られる一冊ですが、中でもADHDの反社会的行動への移行についての説...
がっつり引き込まれました。 「発達障害とは何か」の考察が、丁寧でわかりやすかったです。 聴覚的短期記憶の障害、という認識は今までなかったので、示されてみて「そうか、なるほど」とすっきりしました。 多くの学びが得られる一冊ですが、中でもADHDの反社会的行動への移行についての説明が、特に参考になりました。 不注意、多動性、衝動性が具体的にどのように変化していくのかが示されることによって、早めの対応がいかに重要であるかが理解できました。 ひとつひとつの考察が丁寧で、私にはとても受け取りやすい構造の説明でした。参考文献をもとに、より学びを深めていきたいと思います。 学校で子どもたちとかかわる大人の方にはぜひともオススメしたい一冊です。
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発達障害の新書なら、入門として入りやすいかと思い、手に取りました。著者は、長年教師として教育現場に立ち、生徒指導をしてきた方だそうです。 本の中で気になったのは、「アメとムチ」で発達障害の子供に対応しては逆効果で、「アメとムシ」で対応するべきであること。また、少年犯罪と発達障害の...
発達障害の新書なら、入門として入りやすいかと思い、手に取りました。著者は、長年教師として教育現場に立ち、生徒指導をしてきた方だそうです。 本の中で気になったのは、「アメとムチ」で発達障害の子供に対応しては逆効果で、「アメとムシ」で対応するべきであること。また、少年犯罪と発達障害の関係性など興味深い内容が完結にまとめられていました。入門書としては、おすすめです。
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発達障害について大変分かりやすい記述で、勉強になった。同じく発達障害のある人とかかわっていく時に感じる事や、その周辺で感じる事をサクッと表現してあり、共感が持てた。全く知らない人にも分かりやすい内容になっているのではないだろうか?
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とても、しっくりくる内容でした。 「学ぶ力がない子どもたち」の章で、聴覚的短期記憶に課題のあるケースについて書いてあります。 こちらが指示をしても、ぼーっとしている子の中には、このケースがあると感じました。 僕自身、多くのことを一度に言われると、何を言われているのか分からなくなる...
とても、しっくりくる内容でした。 「学ぶ力がない子どもたち」の章で、聴覚的短期記憶に課題のあるケースについて書いてあります。 こちらが指示をしても、ぼーっとしている子の中には、このケースがあると感じました。 僕自身、多くのことを一度に言われると、何を言われているのか分からなくなることが良くあります。だから、会議は好きではありません...、これはちょっと違いますね(^^) 人には凸凹がある、と良く言いますが、凸凹に合わせた対応も心がけなければならないのでしょうね。
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「発達障害をもつ子どもやその親を孤立させたくない」という、著者の思いが全編を通じて強く感じられました。 ADHDが招く反社会性について多くの紙幅が割かれていて、それが主にアスペルガーについて知りたい私の私の期待と少しずれていたので☆1つマイナスだけれど、とてもよい本だと思いました...
「発達障害をもつ子どもやその親を孤立させたくない」という、著者の思いが全編を通じて強く感じられました。 ADHDが招く反社会性について多くの紙幅が割かれていて、それが主にアスペルガーについて知りたい私の私の期待と少しずれていたので☆1つマイナスだけれど、とてもよい本だと思いました。 発達障害を障害として受け取るのではなく、大小の差こそあれ誰にでもある「認知の凸凹」ととらえて、あらゆる凸凹をもつ子どもたちが学びやすいやり方に教育がパラダイムシフトされていくべきだ、という著者の意見にはとても共感できます。小さな個人経営の学習塾の先生でしかない私ですが、それが実現されて、みんなが生きやすい世の中になることを願います。とても長い道のりではあるだろうけれど。
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広島県の学校の先生による人生経験の集大成。 発達障害の多くは「短期的聴覚記憶」が弱いためであるという説は目新しかったが、他の部分はあまり得るところがなかった。しかも聴覚記憶が弱いと何が問題なのか、弱いのであればどうすれば良いのかといった肝心な部分は読み取れなかった。 障害を持...
広島県の学校の先生による人生経験の集大成。 発達障害の多くは「短期的聴覚記憶」が弱いためであるという説は目新しかったが、他の部分はあまり得るところがなかった。しかも聴覚記憶が弱いと何が問題なのか、弱いのであればどうすれば良いのかといった肝心な部分は読み取れなかった。 障害を持つ者に暖かい目をと書く一方、都合の悪いあらゆる事柄を「反社会的」「認知に凹凸」で片付けるなど、個人的には好感を持てなかった。 ただし、数多くの生徒・保護者からの相談を受けている第一線の方の経験が個人レベルで埋もれるのを防ぐという意味では、本書も意義があると思う。10年~20年後にもう一度本を出版されることを期待します。
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特別支援教育をかじるものとして、読んでおくべきかと思って読んだら、良書であり、著者の熱い思いが伝わってくる、訴えかけるものがある本であった。 発達障がいをもつ子どもと関わっていく上で、大切なことをまとめている。発達障がいの子どもへの指導として、まだまだ学校現場では発達障がい児の...
特別支援教育をかじるものとして、読んでおくべきかと思って読んだら、良書であり、著者の熱い思いが伝わってくる、訴えかけるものがある本であった。 発達障がいをもつ子どもと関わっていく上で、大切なことをまとめている。発達障がいの子どもへの指導として、まだまだ学校現場では発達障がい児の特性(衝動性、こだわり、注意散漫など)を否定し、注意することで治していこうとすることが多い。自分もそのタイプであった。 しかし、日々の実践の中で、「特性を否定する」ことで「治す」ことができるのか、という疑問を抱いていた。発達障がいや認知の凹凸を抱える生徒に、自分自身の特性についての現実を突きつけるのは、その子の人生のためであると信じているのであるが、後で落ち込んでいる姿を目にすると、自分の指導方法が正しいのか考えさせられる。 自分は怒鳴る方ではない。ただ、「そのような認知の弱さがあって、それを認めないままだと、自分が社会に出てから損をするぞ」と教えている(つもりである)。 この「つもりである」というところは、自分が自信を持って言い切れないために、そのように記したのである。 本書を読むことで、こうして自分の実践を振り返ることができたのが最大の収穫である。
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分かりやすかった。発達障害を持つ子供への対応の仕方が具体的で参考にしてみようと思う。ここ数年の少年犯罪の原因はその少年本人ではなく、周囲の大人や社会の責任、という指摘にハッとさせられる。
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