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ショージとタカオ の商品レビュー

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6件のお客様レビュー

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2023/10/27

同名の映画を見逃している。何故だろうと思ったのだが、公開が 東日本大震災の年だったからか。あの頃、私の関心は大震災と 原発事故に向いてたからな。 それでも、再審無罪の判決が出たのは覚えていた。 1967年8月、茨城県利根町布川で強盗殺人事件が発生した。証拠は 別件逮捕された男...

同名の映画を見逃している。何故だろうと思ったのだが、公開が 東日本大震災の年だったからか。あの頃、私の関心は大震災と 原発事故に向いてたからな。 それでも、再審無罪の判決が出たのは覚えていた。 1967年8月、茨城県利根町布川で強盗殺人事件が発生した。証拠は 別件逮捕された男性二人の自白と目撃証言だけ。物証は何もない。 それだけで、二人には無期懲役の判決が下された。千葉刑務所への 収監から29年後、二人が仮釈放されたところから本書も映画も 始まる。 20歳と21歳だった二人を、獄中で過ごした29年は老齢に変えて いた。そこから生活の基盤を作り、仕事を探し、再審請求への 向けての活動を精力的に行うことがいかに大変だったかを想像する。 いくら支援者がいようとも、奪われた29年は世の中を大きく変えて いた。いくら刑務所内で仮釈放へ向けての教育が行われたといえど、 一変した社会に順応するには人並み以上の努力が必要だっただろう。 本書全編を通して、ショージくんとタカオちゃんの明るさに 救われるが、それでも取り調べの時に片腕を手錠で机の脚に 固定されていたことで金属製の腕時計が着用できなとか、昵懇と なった女性の住まいであるアパートの窓から飛び降りたくなったり などのエピソードは、犯罪者とされたことのトラウマが感じられる。 普通の人生を送れることがいかに幸せか。当たり前であることが 当たり前でなくなった期間を過ごした人たちだからこその実感 なのだろうな。 窓の外に鉄格子がない。そのことだけでも嬉しいのだから。 杉山卓男ことタカオちゃん。他の冤罪事件の関係者との交流を 続け、2015年に死去。桜井昌司ことショージくん。2023年8月に 死去。 再審無罪を勝ち取った二人ではあったが、その後の人生は普通に 幸せであったのだろうか。 尚、免田栄さんと一緒で長年刑務所に収監されていた二人には 年金もなかった。国家が作り上げた冤罪なのだから、刑事補償や 国家賠償以外に年金支払えよ、日本国。

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2013/12/24

2013年12月に開催された、第12回ビブリオバトルinいこまで発表された本です。テーマは「Anniversary」。

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2013/12/17

1967年、当時チンピラだった桜井ショージと杉山タカオは別件で逮捕された後、強盗殺人事件「布川事件」の犯人として自白を強要され逮捕される。 裁判で無期懲役をうけた二人は獄中から無実を訴え続け、29年間後仮釈放となる。社会に出た後も二人は無罪を訴え、裁判のやり直しを求め続けていく。...

1967年、当時チンピラだった桜井ショージと杉山タカオは別件で逮捕された後、強盗殺人事件「布川事件」の犯人として自白を強要され逮捕される。 裁判で無期懲役をうけた二人は獄中から無実を訴え続け、29年間後仮釈放となる。社会に出た後も二人は無罪を訴え、裁判のやり直しを求め続けていく。 背が低くおしゃべりなショージ、背が高く几帳面なタカオ、無実を訴え続けた布川事件の二人の43年を追ったドキュメンタリー映画「ショージとタカオ」を井出洋子監督が書籍化。 撮影時の井出監督の感情や、映画見ているときに気付かなかったところも色々と見えてきました。 代用監獄の問題なんかは本のほうがわかりやすかったかな。 <参考> 桜井昌司『獄外記』 http://blog.goo.ne.jp/syouji0124 ショージさんのブログ <下記、映画見たときの感想> 報道される凄惨な事件に対する怒りや憎しみを満たすために、我々(の社会)は何をしてきたのだろう。 犯人を許せないという空気感が、警察や検察を動かし誰かを犯人にし、その人が数十年送るはずであった平凡な日常を奪い去っていく。 「遺族の気持ちはどうなるんだ」と主張する人たちは、自分が冤罪で捕まり有罪となる可能性を想像してみるといい。 パソコン遠隔操作事件をみてもわかるとおり、何もやっていない人でも警察の取調べでは容疑を認めて自白させられてしまうのだから。 30年近く社会から隔絶されて電車の乗り方も電話のかけ方もわからなかった二人が、最近では写メばしばし取る姿が微笑ましかった。

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2013/02/08

冤罪で30年近く刑務所にいた二人のドキュメンタリー映画の作成者の話。長期に渡る丁寧な取材で、二人がどんな人なのか良くわかった。

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2012/09/10

映画をみないままに、本が出版されてしまいました。布川事件のショージとタカオ、二人の仮釈放から再審請求、勝訴までを追いかけたものですが、主役は二人ではなくて、作者のセルフドキュメント、だと思いました。作者のフィルターがうまくかかっています。 冤罪、代用監獄といった数々の問題提起で...

映画をみないままに、本が出版されてしまいました。布川事件のショージとタカオ、二人の仮釈放から再審請求、勝訴までを追いかけたものですが、主役は二人ではなくて、作者のセルフドキュメント、だと思いました。作者のフィルターがうまくかかっています。 冤罪、代用監獄といった数々の問題提起でもあるなか、出所後の社会復帰というのがいかに難しいか。年齢は重ねていても、精神的には若者のまま。冤罪で、支援者がいる二人であってもそうであるのだから、有罪で長期刑であればなおさらだろう。 それはさておき、二人を悲劇的にも正義としても描いていないところ、ショージ君とタカオちゃんの二人が、それぞれ明確な別人格として描けたところが、(見てないけれど)映画がウケた理由なのだろうなあ。

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2012/09/06

重い内容のドキュメンタリー。 のはずなのに、「事件の話」ではなく「人の話」という感じ、体温を感じる作品。 お二人の人柄からか、作者の人柄か、きっとどちらもなんだろうな。 「フツーのおじさんになりたい」という、普通は望まないような願いが叶うまでの(再審無罪を勝ち取ったことで叶ったと...

重い内容のドキュメンタリー。 のはずなのに、「事件の話」ではなく「人の話」という感じ、体温を感じる作品。 お二人の人柄からか、作者の人柄か、きっとどちらもなんだろうな。 「フツーのおじさんになりたい」という、普通は望まないような願いが叶うまでの(再審無罪を勝ち取ったことで叶ったとするならば)、年月の長さに胸が苦しくなる。 単純に、「冤罪って怖い」と鳥肌が立つ。 うまく言葉にできないけれど、読んでよかった、読めてよかったと思う一冊。

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