どくとるマンボウ途中下車 改版 の商品レビュー
旅を題材とした随想録のようなものですね。随所に氏のユーモアがあり、読みやすく気軽に楽しめる。随分前の書であり、昔の事柄にふれ哀愁にひたるもよし。 他の書にも言えるのですが、躁鬱のせいなのか文体にむらがありますね。 この本を書くために旅をするような件が序盤にあったが結局行かずじまい...
旅を題材とした随想録のようなものですね。随所に氏のユーモアがあり、読みやすく気軽に楽しめる。随分前の書であり、昔の事柄にふれ哀愁にひたるもよし。 他の書にも言えるのですが、躁鬱のせいなのか文体にむらがありますね。 この本を書くために旅をするような件が序盤にあったが結局行かずじまいだったり。場当たり的なのも味ではあります。
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先日『どくとるマンボウ青春記』を読んで、とても懐かしい感じがした。もっと北杜夫のエッセイを読もうと思った。とは言うものの、『航海記』や『昆虫記』は中学時代に読んでしまっているので、未読のものといえば.....『途中下車』か。 基本的には北杜夫のエッセイらしい馬鹿話・ヨタ話が中...
先日『どくとるマンボウ青春記』を読んで、とても懐かしい感じがした。もっと北杜夫のエッセイを読もうと思った。とは言うものの、『航海記』や『昆虫記』は中学時代に読んでしまっているので、未読のものといえば.....『途中下車』か。 基本的には北杜夫のエッセイらしい馬鹿話・ヨタ話が中心である。語り口が軽いので、どんどん読んでゆける。どんどん読んでゆくうち、馬鹿話の間に、心に残る、考えさせられる文がさりげなく挟んである。その辺が、彼のエッセイの真骨頂ではないかと思う。 『途中下車』と名乗る以上、旅行記であるのだけれど、実に旅をしない。色々と理由をつけて出発を遅らせ、行ったかと思えばすぐ帰り、旅ネタ以外の話も多い。内容的にはわざわざ旅行記に分類されるものではないのだが、それでも旅に出ようという気持ちにさせられる。著者としては、「してやったり」といったところであろう。 私は山が好きで、同じ著者の『白きたおやかな峰』は特に好きな本の一つだ。そのモデルとなったヒマラヤのディラン遠征の前後譚が含まれていたのが、個人的には一番の収穫だった。撤収後の著者の消耗ぶりを読んで、エルゾーグの『処女峰アンナプルナ』のラストを思い出した。『白きたおやかな峰』とともに、再読しようと思った。本が持つ力の一つに他の本への牽引力があるとすれば、『どくとるマンボウ途中下車』は、その力を持っているのだ。
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