おそろし の商品レビュー
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※このレビューにはネタバレを含みます
【2024年54冊目】 変調百物語――通常の百物語は人々が一堂に会して行うが、三島屋で行われているそれは、語り部がやってきて、話が済めば帰ってしまう、まさに変調の百物語だ。とある事情で三島屋に身を寄せている「おちか」は、叔父の伊兵衛の依頼でその百物語の聞き手となるのだが…。 外れなしの宮部みゆきさんの三島屋変調百物語シリーズ第一作目です。やはり外れなし!五つの連作短編集をドキドキしながら読みました。 章が進む度に主軸となる主人公のおちかの過去のあれそれも明らかになっていき、最終章の五章では過去話となっていたこれまでのお話が一つになりました。見事! おちかの成長ぶりも良いですし、最終章で姿を見せたラスボスも良いですね。いつか彼の話を聞くことにもなりそうな気がします。 なんとシリーズは9作目まで出ているようで二作目以降を読むのが楽しみです。
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長いシリーズになっているから、今から読み始めるのに抵抗があったが、なんのことはない。 この巻でちゃんと広げた風呂敷がとりあえず畳まれている(大団円がちゃんとある)。そして次巻以降を読む価値もある、と思わせる面白さもある。なので、とりあえず一巻だけ…で全然よいのでした。 どの話にも...
長いシリーズになっているから、今から読み始めるのに抵抗があったが、なんのことはない。 この巻でちゃんと広げた風呂敷がとりあえず畳まれている(大団円がちゃんとある)。そして次巻以降を読む価値もある、と思わせる面白さもある。なので、とりあえず一巻だけ…で全然よいのでした。 どの話にも、語り手が「わざわざ三島屋に語りに来る」事情があって、それが怪談に語り手の後悔や恐怖心を乗っける仕掛けになっているから、ただの怪異短編集とは違う、新感覚の「ものがたり」として読める。
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辛い経験をきっかけに心を閉ざしてしまった17才のおちかは、袋物屋「三島屋」の主人である叔父の元に身を寄せる。 叔父はおちかに三島屋を訪れる客から「変わり百物語」を聞くよう言い付ける。 三島屋を訪れる客達から辛く不思議な話を聞くうちに、おちかの心境にも変化が、、、。 三島屋...
辛い経験をきっかけに心を閉ざしてしまった17才のおちかは、袋物屋「三島屋」の主人である叔父の元に身を寄せる。 叔父はおちかに三島屋を訪れる客から「変わり百物語」を聞くよう言い付ける。 三島屋を訪れる客達から辛く不思議な話を聞くうちに、おちかの心境にも変化が、、、。 三島屋シリーズ第一弾。 第一話『曼珠沙華』 第二話『凶宅』 第三話『邪恋』 第四話『魔鏡』 第五話『家鳴り』 江戸時代を舞台にしたお話しなので、慣れるのに時間がかかりましたが、内容自体はとても面白かったです。あと、昭和の死語だと思ってた言葉が江戸時代からの言葉だったと知りビックリしました。《おきゃん》《おちゃっぴぃ》《こんこんちき》、、、知らない事がいっぱいあるなぁ。 ☆おきゃん 活発な女性をさす言葉。 昔は男性にも使ってたらしいです。 感じで書くと「御侠」。任侠の侠。すごい意外な感じ。 ☆おちゃっぴぃ 意味 →お喋りで活発な女の子やその様。 語源 →遊郭で暇な遊女にお茶挽きをさせていた お茶曳き→おちゃっぴぃ →暇な遊女はおしゃべりばかりしていて、 しとやかさに欠ける事から上記の意味で使われるように。 ☆こんこんちき →狐のことらしいです。 めっちゃバカにする言葉らしい。 こんこん憑きって事かと思ったら、そんな事はないらしい。
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読んでからずいぶんたつ。宮部みゆき初体験であり、時代物とホラーにはまるきっかけとなった。 自身の辛い体験から心を閉ざし、江戸で袋物屋を営む叔父のもとに身を寄せたおちか。叔父の代わりに相手をした客から、不思議な体験談を聞く。 その後、訪れた客の不可思議な話を聞くことになり、おちか...
読んでからずいぶんたつ。宮部みゆき初体験であり、時代物とホラーにはまるきっかけとなった。 自身の辛い体験から心を閉ざし、江戸で袋物屋を営む叔父のもとに身を寄せたおちか。叔父の代わりに相手をした客から、不思議な体験談を聞く。 その後、訪れた客の不可思議な話を聞くことになり、おちか自身が抱える心の闇とも向き合っていく‥。 一筋縄では行かない、人の心、行い、すれ違う想い。基本的に怖いのだけど、深く、心に刺さる話ばかりだった。おちかも気の毒な身の上だけど、結果的に間違ってしまったことの描写にも容赦はない。そして、赦しにつながる出来事もあり、人っていいなあ、という気持ちにさせてくれる。 「凶宅」という話。このシリーズもたくさん刊行されて全て読んできたけど、今でもこの話がいちばん怖ろしかったと思っている。NHKでドラマ化されて波瑠が主演だったけど、この話はやっぱり怖かったなあ。 ちなみにこれを読もうと思ったきっかけは、新聞広告。もう忘れてしまったけど、とてもいい宣伝文句だった。大袈裟な煽り文句が苦手なので、(号泣!とか感動の嵐!とか)そうではない、静かだけど、心に訴えかけてくる感じだった。物語もその通りで、この本に出会えてほんとうに良かったと思っている。
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江戸の袋物屋で働く娘が、店に訪れる客から不思議な話を1話ずつ聞いていく、という形で進むホラー歴史小説。 ホラーといいつつ、ただ怖いという話ではなく、人の心の機微が丁寧に描かれていて、気づくとあらゆる人物に感情移入しながら読んでしまいました。 怪異譚としての肌触りは、創作怪談や都...
江戸の袋物屋で働く娘が、店に訪れる客から不思議な話を1話ずつ聞いていく、という形で進むホラー歴史小説。 ホラーといいつつ、ただ怖いという話ではなく、人の心の機微が丁寧に描かれていて、気づくとあらゆる人物に感情移入しながら読んでしまいました。 怪異譚としての肌触りは、創作怪談や都市伝説ホラーとはまた違った感覚。実話怪談を聞いた時のような、不気味さと「説明のつかなさ」がじわりと滲んでいるように思います。
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心の闇、あやかし、どちらもおそろしい。 枠物語は枠でなく存在感あるメインストーリー。 ふくよかでこまやかな文章に、ええもん読んでる気分になれます。 事情あり他者と接したぁあらへんおちかに叔父の染物屋三島屋伊兵衛は、松田屋藤兵衛と曼珠沙華のできごとののち、変わり百物語を集めたいと...
心の闇、あやかし、どちらもおそろしい。 枠物語は枠でなく存在感あるメインストーリー。 ふくよかでこまやかな文章に、ええもん読んでる気分になれます。 事情あり他者と接したぁあらへんおちかに叔父の染物屋三島屋伊兵衛は、松田屋藤兵衛と曼珠沙華のできごとののち、変わり百物語を集めたいと言い出し訪ねてくる人々から怪談話を聞き出すよう命じる(おちかのリハビリ目的でしょう)。 心閉ざすおちかが他者の怖い話を聞くうち、なんやしらんけどいつの間にかタフになってもうてて怪談の方を救う。 メフィスト的なキャラが登場、おちかのライバルとなる? 曼珠沙華:曼珠沙華の影になにが見える? 凶宅:安藤坂の屋敷。おたかが語る。 邪恋:おちかの事情、あまり引っ張らず早くも明かされる。 魔鏡:お福と、超絶美女の姉お彩と、美形の兄市太郎。 家鳴り:兄の喜一が来る。安藤坂の屋敷ふたたび。対峙することになる。これまでに話を聞いたことにも意味があり「おちか講」結成。今度はおちかが怪談を救う番だ。 ■メモ おちか。三島屋伊兵衛(叔父、染物屋)。お民(伊兵衛の妻)。おしま(女中頭)。八十助(使用人)。喜一(兄)。松太郎(微妙な位置づけ)。良介(婚約者だった)。松田屋藤兵衛。おたか。安藤坂の屋敷。清太郎(草履問屋越後屋の跡取り)。お福。お彩(石倉屋の娘)。市太郎(石倉屋の息子)。石倉屋鉄五郎。おかね(鉄五郎の妻)。宗助(石倉屋の奉公人)。清六(錠前職人)。お吉(市太郎の妻)。春吉(おたかの弟)。家守。 世の中には、恐ろしいことも割り切れないことも、たんとある。答えの出ないこともあれば、出口の見つからないこともある。(p.193) 病というより、呪いみたいなものでございます(p.292) ひとつひとつの話は、忘れられてゆく。(p.460)
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宮部みゆきさんのホラー時代小説 すでに8巻まで出版済みの三島屋シリーズ 初めて、「事始」の1巻を読んだ。 怪異を描いているけれど、関係する人々の心情、 事情を深いところまで、掘って掘って、掘り下げて描く。 人間の気持ちそのものが怪異なのか! 宮部みゆきさんの文章は読みやすくて...
宮部みゆきさんのホラー時代小説 すでに8巻まで出版済みの三島屋シリーズ 初めて、「事始」の1巻を読んだ。 怪異を描いているけれど、関係する人々の心情、 事情を深いところまで、掘って掘って、掘り下げて描く。 人間の気持ちそのものが怪異なのか! 宮部みゆきさんの文章は読みやすくて奥深く、そして美しい。 400ページ超、あっという間だった。
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三島屋シリーズの第一弾。 黒白の間という部屋で聞き手のおちかが客人の話し手から怪談話を聞くと言った内容でした。 怪談話と言っても実際に話し手が経験した話で、ホラー的な怖さはないですが人間の醜さというか弱さというか違う意味では怖いと思いました。 最後の方はファンタジーのような展開に...
三島屋シリーズの第一弾。 黒白の間という部屋で聞き手のおちかが客人の話し手から怪談話を聞くと言った内容でした。 怪談話と言っても実際に話し手が経験した話で、ホラー的な怖さはないですが人間の醜さというか弱さというか違う意味では怖いと思いました。 最後の方はファンタジーのような展開になっていき、別々の話が合わさっていくんですが、ちょっと強引に感じてしまいました。
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宮部みゆきは単なるミステリ作家ではない。当代きっての天才作家だ。どんなジャンルでも質が高くて面白い。その中でも時代物のファンは割と多いのではないだろうか。 私は特に「ぼんくら」シリーズが好きだ。ミステリと人情、江戸の庶民の暮らしを生き生きと描いた細かい描写。かなり江戸文化について...
宮部みゆきは単なるミステリ作家ではない。当代きっての天才作家だ。どんなジャンルでも質が高くて面白い。その中でも時代物のファンは割と多いのではないだろうか。 私は特に「ぼんくら」シリーズが好きだ。ミステリと人情、江戸の庶民の暮らしを生き生きと描いた細かい描写。かなり江戸文化についても研究しているのだなと感じる。 今回の作品は「三島屋変調百物語」シリーズの第一作である。相変わらず江戸時代の空気感が伝わる精緻な描写は「ぼんくら」シリーズと同じだが、本シリーズの最大の特徴はこれが怪談という事だ。宮部みゆき自身が「怪談を書きたかった」と言っており、また百物語の体裁をとっていることから作者の並々ならぬ意気込みを感じる。 本作では「亡者」とか「怨念」といったスピリチュアルな表現がたくさん出てくるし、物語の重要な部分にもなっている。これはこの作品が怪談だからではない。当時の江戸時代の人々にとってはこのスピリチュアルな概念や現象が当たり前であり常識であった。当時の空気感や人々の思考を忠実に再現しようとすれば何の違和感もなく、それがまたこの作品の恐ろしさや面白さを高めている。 本当にこのシリーズが99話まで続くのかは分からないが、宮部みゆきのライフワークでもあるので次回作も楽しみにしている。
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再読だが、改めておちかの壮絶な経験に心が痛む。齢17歳にして、一番多感なお年頃にする経験にしては重すぎる。これから聞く「変わり物語」がおちかちゃんの心を解してくれることを願います。禍福は糾える縄の如しという言葉があるように、悪いことばかりではないでしょう。
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