強い企業の人事戦略 の商品レビュー

労務行政研究所【編】

2023/01/22

勝ち抜く経営 強い企業の人事戦略 (労政時報選書)
著：労務行政研究所

人事諸施策の実践に当たり、経営戦略との整合を図る軸として「人事戦略」が重要であるが、現実には人事戦略が明確に策定されていない企業も少なくない。しかし、基本戦略がないまま、時々のﾆｰｽﾞに応じて行き当たりばったりに施策を行っていては、経営戦略を敵にサポートできないばかりか、目的を見失ったり、無益な方向に向かう恐れもある。

自社の人事部門がその役割を果たせているかどうか、常に念頭において人事諸施策の策定・実行が必要となる。

本書の構成は以下の3章から構成されている。
①先進13社の企業事例
②人事戦略の現状と今後の課題
③企業の成長を促す人事戦略の構築法

人事とは人材の質と量を最適化することである。そして人事戦略とは単体ではなく、経営戦略との整合性が大切であり、複合的にそれを叶えるものでないといけない。

何を行うにしても人が重要。昨今取りざたされている「人的資本経営」びおいてもその重要性は増している。人を資本として捉え、見えるもの、見えないものを含めて見える化し、戦略的に活用し、企業価値を高め続けないといけない。

本書の事例等については、2012年に記されていることもあり、最新ではない。しかし、本質はしっかりと抑えられており、その本質を理解した上で現状に求められることと、自社が中長期的に求められるであろうことを見据えて、人材を整えていかなければいけない。

時々で求められるスキルや価値観、人材は変わってくるもののその柔軟性を活かしたまま、先取りの見えない未来に向かっての備えも必要となる。

組織として育てることと、自主的に学び続ける個がうまくかみあう企業こそ生き残る価値がある。