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嫁の匂い の商品レビュー

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好対照な官能描写と人間模様なドラマが冴える

ジュブナイルポルノからリアルドリーム文庫を経て、最近は竹書房ラブロマン文庫や二見文庫、そしてフランス書院文庫にまで上梓の幅を広げてきた作者の、廣済堂文庫で放った第1弾が回春モノだったのは驚きである。妖艶な熟女の積極的な誘惑と幼妻の恥じらいを好対照に描きながら、初老の主人公が翻弄さ...

ジュブナイルポルノからリアルドリーム文庫を経て、最近は竹書房ラブロマン文庫や二見文庫、そしてフランス書院文庫にまで上梓の幅を広げてきた作者の、廣済堂文庫で放った第1弾が回春モノだったのは驚きである。妖艶な熟女の積極的な誘惑と幼妻の恥じらいを好対照に描きながら、初老の主人公が翻弄されていくドラマもしっかりした本作を見るに、様々な文庫が求めるであろうテイストに見合った作品を安定したレベルで執筆する手腕に敬服する。 50代の主人公(義父)と20歳の嫁を軸に据えつつ、夫(息子)と嫁、主人公と嫁の母、嫁の家族といった、様々な登場人物とドラマとの関わりに妙味がある。起承転結がしっかりしており、後半からは後ろ暗さも湛えた別の側面を見せていく面白さもある。次第にエスカレートしていく嫁への責めには、その恥じらいが可憐で健気なために「そこまでしなくても」といった感慨も若干抱くが、秘めた想いを発露する被虐の美として見ることもできよう。その代わりと言っては何だが、訳あって背徳の憂いよりも強い想いを抱く嫁の母からの積極的かつ貪婪な誘惑描写が対をなしており、こちらにも存在する秘められた過去に基づいた深い愛情が、その背景として深みを増すことに貢献している。 複雑ながらシンプルな要因で分かりやすい人間模様に純粋と泥濘の感情を織り交ぜ、淫猥度の高い官能描写を様々なシチュエーションで盛り込み、最終的には読後感も良好な結末にまで至る構成は見事と言える。

DSK