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児童相談所はいま の商品レビュー

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3件のお客様レビュー

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2016/12/29

先日、朝日新聞で児童相談所の特集があった。 子どもの利益を第一優先に働く彼らは、増え続ける虐待件数を前に多忙な毎日を送っている。 私もここのところ、仕事で児童相談所と関わる機会が多い。 彼らが高い志を持って子どものために駆け回りながらも、周りから理解をされなかったり、バッシング...

先日、朝日新聞で児童相談所の特集があった。 子どもの利益を第一優先に働く彼らは、増え続ける虐待件数を前に多忙な毎日を送っている。 私もここのところ、仕事で児童相談所と関わる機会が多い。 彼らが高い志を持って子どものために駆け回りながらも、周りから理解をされなかったり、バッシングを受けやすかったりする現状を前に、居た堪れない気持ちになることもある。 そもそも、人との関係で絶対的な正解なんてものはない。 その時は最善だと思っても、後からもっと違う道があったんじゃないかと思うことは、私も子どもの支援に関わる中でしばしばある。1つの機関でできることは限られているからこそ、連携しながらいい方向に向かっていきたい。 そのためには、まずは連携することの多い児童相談所についてもっと知りたい。そう思ってこの本を手に取りました。 事例も交えて、非常に丁寧に、かつ現場の温度が伝わる内容でした。 虐待はなぜ起こるのか。要因はさまざまである。 ・ひとり親家庭(子育てに協力者がいない、精神的に支えてくれる存在がいない)、産後うつ病、父母の不仲、経済的貧困、望まない妊娠、子どもの障害など、本当にさまざまである。 もちろん、ひとり親家庭だからといって必ず虐待が起きるわけではない。けれど、頼る人がいないと人は追い詰められやすいのも事実だ。 妊娠期からの切れ目のない支援が今求められていて、それで確かに望まない妊娠や産後うつによる虐待を予防できる一面はあるかもしれないけれど、それ以外の部分にも十分に目を配っていかなければいけないのだと思います。 私の周りの児童福祉司、あるいは元児童福祉司の人は口を揃えて児童相談所で働くことの意義を語ります。私自身も子どもの分野で働いて、なんと変化に満ちた未来に繋がる仕事かとやりがいを感じます。 もちろん日々悩みながらではあるものの、こんなにも深く誰かの人生に関わることができるなんて、幸せだと思います。 本書の一説に、「結局のところ、児童福祉司の役割は、当事者の力を信じること、見極めること、多様なゴールに向かって支援すること、なのかもしれない。そして、相反する価値観のバランスを上手にとるところに専門性がある、のかもしれない」との記載がありましたが、私が大事にしたいと思っているものと重なるように思いました。 忙しい中、これだけの本を世に出すのは多大な調整、労力が必要だったと思いますが、読んで勇気づけられる人は多いでしょうし、なかなか伝わりづらい児童相談所の動きを世に伝えるものとして非常に良書だと思います。読めてよかったです。

Posted byブクログ

2014/01/11
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

前半は児童相談所のシステムや、児童福祉司の役割。後半は事例。できれば図がほしかったが、なくてもなんとか理解できる内容だった。児童福祉法が何度も引用されているので巻末付録でもいいから全文載せて欲しかった。なかったのでネットで調べます。淡々とした文章だが筆者の無念さや必死さが伝わるものだった。

Posted byブクログ

2012/08/05

初心者にも読みやすい。 事例も、軽いものからヘビーなものまで順に載っている。 虐待する親の側にも自覚があり、支援を求めているケースが3割というのは衝撃。また親の子ども時代から未解決の部分が表出するもの、という指摘も納得。

Posted byブクログ