インセスト の商品レビュー
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※このレビューにはネタバレを含みます
第1章 乱交の黄金時代 第2章 インセストの回避―インセスト・タブーの起源に関する説明の現状 第3章 禁止された行為―インセストとその心理学的結果 第4章 太古の鏡像―類人猿の社会構造と霊長目の性的回避 第5章 核家族成立に先立つホルドの社会組織 第6章 家族とタブー 第7章 インセスト・タブーの神秘を解く ~*~*~ なぜインセスト・タブーが人間社会に存在するのかを 説明するために3つの問いから着手する 1、なぜ 核家族内の1部ダイアド(母ー息子)に 対して 他のダイアド(父―娘、兄弟ー姉妹)以上に 禁止的であるのか 2、インセストの発生率がなぜダイアドごとに違うのか 3、なぜ「母-息子」インセストの息子に、 他のメンバーより重大な精神障害が多く見られるのか 記録された歴史 民話、演劇、神話、文学 無文字民族から、始まり インセスト・タブーの起源に関する説明の現状 データの方法論的な問題をあげる そして 太古の鏡像―類人猿の社会構造と霊長目の性的回避・・・ ヒト上科(類人猿と人間) オランウターン・ゴリラ・チンパンジーなどの構造 ヒト属のもととなったホミニドの構造 核家族成立に先立つホルドの社会組織~ 現在に至るまでの人間 物理学・生物学・霊長類学などの「自然選択」と 「社会文化的選択」など 膨大な資料から 検討して考証されていく その結果 1章から始まった既存の諸説明と どう比較対照出来るかの検討が7章で行われている むすびは諸説に含まれている要素を含みながら、 取って代わるコトはなく 補完するものではあるが どの説明理論も、著者たちの考察をインセスト・タブーの起源へと導いた疑問すべてに答えを 出すコトは出来ない、と述べている 訳者あとがきにもあるように「インセスト問題」を 説明する現状における最高水準の成果であることには 疑いの余地はない そしてこの研究結果は たぶんに推論に基づく仮定の提示であり 若い世代の研究者が成果を引き継ぎ修正しながらさらに発展するコトが肝心であるとのコト しかし、本書を読む側からすれば 膨大な、いろいろな分野にまたがる諸説の保証点・ あるいは問題点などが浮き彫りにされている 「インセスト問題」に関心がある人にとっては とても 有意義な本だと思いました
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