「こころ」はどこで育つのか 発達障害を考える の商品レビュー
発達障害を主テーマに添えながらも、現代の自立と依存の関係、自己責任の問題、虐待による心の発達のゆがみ、「性」の発達を通じて精神発達についての説明をされ、フロイトとピアジェの発達論を整理しなおし、最後は3・11の影響についてまとめられた。中井久夫先生の名古屋時代のエピソードも興味深...
発達障害を主テーマに添えながらも、現代の自立と依存の関係、自己責任の問題、虐待による心の発達のゆがみ、「性」の発達を通じて精神発達についての説明をされ、フロイトとピアジェの発達論を整理しなおし、最後は3・11の影響についてまとめられた。中井久夫先生の名古屋時代のエピソードも興味深い。特に「自立」「自由」「責任」についての論考は納得できた。『「自立」を急がせすぎて孤立させていないか』、気をつけなければならない論考である。
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発達障害という切り口から、当たり前のようで当たり前ではない発達の過程を照射する。知能(知る)と関係(分かる=分かち合う)は車輪の両輪であること、正常と異常は線引きできるものではなくスペクトラムであること、性にまつわる両義性という困難など、この「こころ」シリーズならではの頭と体のバ...
発達障害という切り口から、当たり前のようで当たり前ではない発達の過程を照射する。知能(知る)と関係(分かる=分かち合う)は車輪の両輪であること、正常と異常は線引きできるものではなくスペクトラムであること、性にまつわる両義性という困難など、この「こころ」シリーズならではの頭と体のバランスのとれた洞察が味わえる。 本編も素晴らしいが、ある意味で予想できた素晴らしさ。滝川さんが師の中井久夫について語る5章はこじつけたテーマから生まれた予想外の素晴らしさ。 等身大の一人の人間であること、社会の中で一定の役割を持つこと、特定の分野でエキスパート/プロフェッショナルであること。それが好循環で支え合う姿。そんなことを考えさせられた。
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