定本 見田宗介著作集(7) の商品レビュー
『社会科学入門』(2006年、岩波新書)に収められたものなど、6編の論考を収録しています。 巻末の「定本解題」で著者は、「わたしたちが社会学に求める課題は、人間と社会についての〈見晴らし〉を開く、ということにある」と述べ、さらに「見晴らしを開く」ということには、どのような未来が...
『社会科学入門』(2006年、岩波新書)に収められたものなど、6編の論考を収録しています。 巻末の「定本解題」で著者は、「わたしたちが社会学に求める課題は、人間と社会についての〈見晴らし〉を開く、ということにある」と述べ、さらに「見晴らしを開く」ということには、どのような未来がやって来るのかという見通しを示すことと、どのような未来が望ましいかを提言することが含まれていると述べています。 著者は本書に収められている「価値空間と行動決定」という論文のなかで、人びとの価値についての合理的な決定の原理を求める試みについて検討をくわえ、ある限定された条件のもとで定量的な合理性が存立しうることを示しています。そのうえで、やはり本書に収録されている「ユートピアの理論」や「二千年の黙示録」、あるいは「コミューンと最適社会」といった論考のなかで、社会学の立場からわれわれの社会の行く末についての展望を開くということがどのような営みであるのかということを、具体的に示しています。
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