それは6歳からだった… の商品レビュー
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土曜の午後、ふと立ち寄った図書館で見つけた、メーテルリンクの著書の隣に並んでいた本。語弊があるとは思うが、多少の好奇心も伴って手にした。持ち帰りにして1か月延長して借りつづけ、それでも読みこなせず返してしまった本があることを思い、とりあえず館内の一角に座り、ページをめくった。 著者は私と同世代のフランスの女性。ページをめくるなり、13歳の著者が体験した衝撃的なシーンから始まる。 「それは6歳からだった」それが何を意味しているか、副題から想像はついたものの、当事者の語る言葉は重い。その時々の生々しい場面は、よくこんな細かいことまで覚えていたと感心する以前に、筆者が忘れたくても記憶から消し去ることができないことであり、その異常な日々に終止符を打つことになった裁判で無理やりにでも思い出して証言しなければならなかったことである。 ページ数にすると、その地獄の日々は半分にも満たない。残りは、その地獄の日々が彼女の人生をどれだけ取り返しのつかないものにしていったかに費やされている。 そして、奇跡的にどうにか少なくとも傍目には幸せで穏やかな日々を取り戻すことができたという、そこまで読んでようやく少し救われたような気分になった。 児童虐待、とりわけ性的な虐待がどれだけその人の人格形成に大きな影を落とすかを知ることができる、貴重な一冊である。 ちなみに、残念ながらあと一章というところで閉館時間となり、貸出して読み終えたのだった・・。
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