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澄みわたる大地 の商品レビュー

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2件のお客様レビュー

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2019/02/10

ピザまんとかあんパンとか、中央にあんが詰まっている食べ物が嫌だ。一口目からその料理の味を堪能したい。この本はいわゆるカステラ、ようかんタイプの作品ではある。開くと既に物語は始まっている。そういう意味では好みな作品なんだが。その土地で生活してる人間でしかわからない閉塞感、行き場のな...

ピザまんとかあんパンとか、中央にあんが詰まっている食べ物が嫌だ。一口目からその料理の味を堪能したい。この本はいわゆるカステラ、ようかんタイプの作品ではある。開くと既に物語は始まっている。そういう意味では好みな作品なんだが。その土地で生活してる人間でしかわからない閉塞感、行き場のない吹き溜まりの欲望、1人1人がまとわりつく風や雨のようにうまく受け流してる様子が素直に描かれてる。若々しいと思ったら処女作なのね。重要な作品なんだろうが、時間がある人で人生に疲れてる人でないと読むのがキツイと思う。

Posted byブクログ

2018/07/15

メキシコという大地が、その歴史的必然(というべきか呪いとでもいうべきか)によって産んだ世界一巨大な都市メキシコシティ。その都市を舞台にして、百人はくだらない登場人物たちを展開させる、超長編小説。 巻末にまとめてある現代メキシコ史を読むと、数十年に一度のサイクルで起きる革命によっ...

メキシコという大地が、その歴史的必然(というべきか呪いとでもいうべきか)によって産んだ世界一巨大な都市メキシコシティ。その都市を舞台にして、百人はくだらない登場人物たちを展開させる、超長編小説。 巻末にまとめてある現代メキシコ史を読むと、数十年に一度のサイクルで起きる革命によって、メキシコの階層ピラミッドの序列や、経済システムなどが、天を地に変える変転にみまわれていることが知れる。 本作は表向きはその革命史に則った悲喜劇を描くようでありながら、読み進むうちに、その革命の現代史がさながら瘡蓋のような表層的現象であるように見せてゆく。支配者層の変転、西欧文明の流入などは一過性の感冒なのかと思わされる、いかんとも変わりようのない、大地を這う人々。 メキシコという土地が原初より持つメキシコ性? メキシコ性に、生まれた瞬間から墓に埋まるその最後まで憑りつかれて逃れられない、革命家、銀行家、権力者、地主、売春婦、聖職者たち。列強諸国も表面上は統治するようでありながら、その実、出血するメキシコに延々と輸血する役割を担っているような。 本作もまた、メキシコの大地がもつ過剰な繁茂する力が、若い作家にとりついて筆を執らせた、そんなイメージを持った。

Posted byブクログ