Springs of C の商品レビュー

伊藤祥一【著】

2016/05/18

文量が少なくゲームを作るという目的意識があり入門に丁度よい

C言語の入門本はたくさん出版されている。しかし，文法を解説するためだけの意味のないサンプルや，活用場面の見えない形式的で単調な説明文の繰り返しであることが多い。

この本はそうした本とは違っていた。最終的に簡単なゲームを作ることを意識して，C言語の各種文法について説明されている。例えば，CUIのプログラムで適当なファイルの先頭何文字化を読み込んで数値としてゲームのパラメーターにしたり，ランダムな数値を発生させて，RPGの戦闘を再現したりといった具合だ。このような説明をしている本は少なかったので，読んでいて面白かった。

そして，本の終わりの2-3章をかけて，実際にGLUTとglpngというOpenGLのライブラリを使ったゲームの作成例を示している。C言語の入門本でここまで実践的な内容を書いているのは「Head First C」くらいだ。

必要な情報に絞って説明しており，200ページほどと文量はコンパクトだ。これくらいの薄さであれば，初心者でも最後まで読み進められるのではないかと思われる。ただ，コンパクトな分，詳細な情報は別のリファレンスとなる書籍が必要だ。
C言語で何ができるか，どんなおもしろいことができそうか知るのにはよい。