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大本営海軍参謀最後の証言 の商品レビュー

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2013/12/20
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米内光政、嶋田繁太郎、永野修身らの副官も勤めた海軍の俊才が綴る異色の海軍文明論。 海軍の組織と人を作戦と情報、指揮と統率、戦略と戦術、教育と人事等に区分・問題提起し、みずからの海軍生活での見聞を自在に駆使して描く。 (1999年刊、2012年文庫化)  序 章 大敗北の理由  第一章 日本海軍の本質  第二章 作戦と情報  第三章 指揮と統率  第四章 戦略と戦術  第五章 一貫性と柔軟性  第六章 教育と人事  第七章 士官と下士官兵  終 章 大陸国と海洋国  あとがき 本書は、米内光政、嶋田繁太郎、永野修身らの副官をつとめ、軍令部に勤務、大本営参謀をつとめた著者が、長所と短所、美風と弊風、成功と失敗、功と罪。リアリズムをキーワードに自賛に傾かず、自虐におちずに、ありのままの海軍を徹底的に検証した本である。 以下、気になった点をあげると ・図上演習、兵棋演習の落とし穴p66   作戦指揮の演練、指揮官と幕僚の意思統一にいちじるしいメリットがあり、海軍大学校でも重視されたが、マイナス面として情報軽視の最大の原因となった。(積極的に、自らの手で、努力して、収集し判断しなくても「情報」はいつでも適時適切に統監から与えられるため、情報収集に消極的な姿勢をとるようになった。) ・連合艦隊長官は、戦術指揮官である。P163   古賀長官は「連合艦隊長官は、戦術指揮官である。つねに作戦部隊の先頭に立って指揮すべきであり、後方にいるべきではない」とし参謀長らの反対をしりぞけた。(明治の日本海海戦ならいざしらず太平洋戦争においては戦争指揮官、戦略指揮官として誤りない戦争指導をする必要があった。) ・少尉候補生の時の体験。p140   戦艦榛名の甲板士官を命じられた。そこで下士官兵222名を指揮して、水漏れ点検と錆落とし錆止めを実施することとなった。著者は先任下士官と打ち合わせを行い、計画を樹て、その意見をくみ上げながら実施することとした。後から考えると懸命に自分の分身を作ろうとしていた。作業は順調に進んだが、従来のやり方とは異なった方法に幹部士官の中には「統率の墜落だ」と考える人もおり睨みつけられた。(この件を読んでなんともやりきれない気持ちになった。現在でも合理的な方法ではなく、精神論から非合理的な方法を好む風潮は根強いのではないか。) ほかにも、海軍の教育と人事制度に関する事柄が書かれており興味深かった。残念ながら海軍は、組織の硬直化など戦時の組織としては欠点を露呈したが、平時の組織運営に関しては現代社会にも通じる部分があるのではないかと思われた。

Posted byブクログ