原発「危険神話」の崩壊 の商品レビュー
たまには原発肯定派の意見も読んでみようと手にしたのが本書だ。 うん、思い切り肯定している。福島第一原発の事故で、原発の安全神話 が誤魔化しの上に成り立っていることがばれちゃったが、本書で著者が 主張しているのは「放射能は危険」という神話も崩壊したってことらしい。 曰く、福島第...
たまには原発肯定派の意見も読んでみようと手にしたのが本書だ。 うん、思い切り肯定している。福島第一原発の事故で、原発の安全神話 が誤魔化しの上に成り立っていることがばれちゃったが、本書で著者が 主張しているのは「放射能は危険」という神話も崩壊したってことらしい。 曰く、福島第一原発の事故で死者が出ていないから…だそうだ。いや いや。死者が出てもおかしくない事故だったが、偶然の連鎖で原子炉 の爆発が避けられたのではないんだろうか。 発がんリスクだけを比較すれば、放射能より塩分の過剰摂取や 喫煙の方が危険だと述べているのだが、そもそも比べるものが おかしくないか? 放射能の人体への影響は一律ではないし、発がんだけを問題に するの乱暴じゃないだろうか。 一時期、ヒステリックな反原発運動が盛り上がった。それへの反論 なのだろうけれど今後起るかもしれない健康被害を無視して、 「大した事故じゃなかった」と断定してしまうのは危険だ。 それでも、原発推進から一転、「原発ゼロ」を叫び始めた朝日新聞 批判や、話題になれば何にでも飛び付く武田邦彦批判、胡散臭い 自由報道協会批判は面白かった。 原発肯定派の人はこういう風に考えているのかという参考には なった。だからって、私は肯定する気はないけれど。未だに 懐疑派です。
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原発に反対するわけでもなく、推進するわけでもなく、色々あるエネルギーの選択肢を、あくまで冷静に分析してみようとする本。 内容の軸にあるのは、冷静に分析した時のコスト比較では原発が有利、なので再稼働すべき、という論調です。 出されているデータが正しいものだと仮定して、書いてあるこ...
原発に反対するわけでもなく、推進するわけでもなく、色々あるエネルギーの選択肢を、あくまで冷静に分析してみようとする本。 内容の軸にあるのは、冷静に分析した時のコスト比較では原発が有利、なので再稼働すべき、という論調です。 出されているデータが正しいものだと仮定して、書いてあることは非常によく理解できます。 火力と比べて原子力のほうがトータルリスクは低い、と。 「明確に有害である部分がわかる火力」と「有害か無害かよくわからない(けど害は低いんじゃない?ってデータがかなりある)」を見比べた時に、やはり問題なのは「よくわからない」部分でしょうね。 ここはどうしても感情が入ってしまう部分になります。 なので著者が求める再稼働の方向性には、なかなか政府も世論も導かれないものと推測します。 とはいえ、原子力に限らず、冷静に分析すべし、という姿勢は、この本から多く学ぶことができました。そのため★4つです。
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2012/07/09 Yes. I totally agree with this. Think competitively risk and return. This book gave me a lot of knowledge.
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低線量被曝が体にいいのか悪いのか、諸説ありますが、高線量で人が死ぬのは事実。怖いのは、それが目に見えず匂いもしないからで、かつ、本当に明快な知見もないという点で他のリスクとは随分違うと思っています。そこを差し引いて、他のリスクと同様に論じるべきではないと思います。人がそもそも合理...
低線量被曝が体にいいのか悪いのか、諸説ありますが、高線量で人が死ぬのは事実。怖いのは、それが目に見えず匂いもしないからで、かつ、本当に明快な知見もないという点で他のリスクとは随分違うと思っています。そこを差し引いて、他のリスクと同様に論じるべきではないと思います。人がそもそも合理的でないのだから、合理的な議論なんてないのだ、なんていうと、著者さん呆れるよね、きっと。いろいろな人がいるのだという本。
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東大出身で,某私立大学教授の人気ブロガーによる原発事故関連本.人気があるのもうなづける内容だと思ったが,個人的に同意できる部分とできない部分がはっきり別れた内容だったので★は3つとした. 例えば,「チェルノブイリ事故の直接の犠牲者として確認されたのは,事故から25年たった現在でも...
東大出身で,某私立大学教授の人気ブロガーによる原発事故関連本.人気があるのもうなづける内容だと思ったが,個人的に同意できる部分とできない部分がはっきり別れた内容だったので★は3つとした. 例えば,「チェルノブイリ事故の直接の犠牲者として確認されたのは,事故から25年たった現在でも62人」,「プラント事故としては,飛び抜けて大きい規模ではない」と,ものは書きよう,考えようである.その通りという部分と首を傾げる文章が混在していたが,その振れ幅が 大きかった.4章,6章、7章の論旨は賛同できたが,前半の内容を考えると釈然としない感じもした.. 児玉龍彦先生のチェルノブイリで膀胱癌が増えたは間違いとのことであるが,不勉強の人間には理由がわからないのでその理由を示して欲しかった.その他にも同様に感じた部分があった. 様々な考えがあることを理解できるが,比較にならないものを比較したり,すり替えがあったり,納得はできないものが多々あったのも事実. 「小児甲状腺癌はありふれた病気」という記載には,小児科医としては釣られたいところ(苦笑). 安冨先生の東大話法と合わせて読むと違った視点で読めるかもしれない.
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ほとんど全てに同感する。 原発再稼働に関する議論でいまだに正義の味方っぽい口調で「安全は保証されたのでしょうか?」 などとコメントしている連中には、科学的論理的な反論は全く出来ないだろう。 ちょっと心配なのは、あまりにも筆者の論敵にたいする攻撃が容赦なさすぎるので、打ち負かされ...
ほとんど全てに同感する。 原発再稼働に関する議論でいまだに正義の味方っぽい口調で「安全は保証されたのでしょうか?」 などとコメントしている連中には、科学的論理的な反論は全く出来ないだろう。 ちょっと心配なのは、あまりにも筆者の論敵にたいする攻撃が容赦なさすぎるので、打ち負かされた人々は、沈黙を守れればいいほうで、多くは論理をすり替えたり言葉尻をとらえたりして何とか一言反論したくなるだろう。建設的な議論にはなりそうにない。 それにしても、物事の本質をシンプルにとらえ巧みな比喩に表現する能力は素晴らしいと感じる。 88ページには、朝日新聞の編集長が脱原発についてのコメントを紹介している。すなわち、①原発をやめるべきか②原発をやめることができるか、という問いに対して、通常は②→①と考えるが、今はまず①について覚悟を決めて、②が突きつける課題に挑むべきだと宣言しているらしい。 これを、①戦争をやるべきか②戦争に勝つことができるか、という日米開戦前夜の設問に置き換え、英米に勝てるかどうかを考える前にまず鬼畜米英を放置しておいてはならぬという覚悟を決めろと迫るレトリックと同一だと指摘する。確かに同じだ。 戦時中に過激に戦意高揚記事を書き、最後まで本土決戦を強硬に主張し、敗戦が決まると一転して「平和国家を確立せん」という社説を掲げ、70年代には原発推進キャンペーンを張り、今回の原発事故が起こると「原発ゼロキャンペーン」を張る朝日新聞。本質的な主義主張ではなく、強者(軍部やGHQや、今は読者=大衆)への迎合と現実離れした理想論。なぜこんな幼稚な新聞が日本で一番売れ続けているのかますます不思議がつのる。 今話題の小沢一郎も、これの同類だろうか。実は本質的な国家観は二の次で、結構変節する。その時々の大衆に迎合しながら大衆をリードしているように見せかける。 更に言えば、こんなのが受けてしまう日本というのは全体主義に陥りやすい国民性だといえるのではないだろうか。実は右翼でも左翼でも同じで、本質的な議論をすっ飛ばしてムードに乗ってしまう。本書でも繰り返し指摘された「空気」というのは恐ろしいものである。 最後に、本書のタイトルにも感心した。原発が危険だ危険だというマスコミや世論は、ほとんど神話の世界に入っている。もっとも神話という表現はまだ麗しさが漂うが、現実は魔女狩りか異端審問がはびこる全体主義に侵されているということを知らせれ暗澹とさせられる本だった。5つ星。
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リスク評価について整理して考えることができる。誰が正義で誰が悪と決めることでは解決しない問題だと痛感。
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原発について、冷静に見ている解説本。 チェルノブイリの事故と比較した現在の福島原発の状況、今後の原発について経済的な面、政治的な面での解説など、わかりやすかったです。 ブログはこちら。 http://blog.livedoor.jp/oda1979/archives/4186...
原発について、冷静に見ている解説本。 チェルノブイリの事故と比較した現在の福島原発の状況、今後の原発について経済的な面、政治的な面での解説など、わかりやすかったです。 ブログはこちら。 http://blog.livedoor.jp/oda1979/archives/4186569.html
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ブログなどで過激な発言で有名な池田信夫氏が原発を含むエネルギー政策についての自説をまとめた本。 今回の事故ではこの程度で済んだけど、「安全神話」が崩れた今となっては次の事故が発生する可能性があることは否めず、そのときにはどういう甚大な影響があるか分からない、というのが反原発の...
ブログなどで過激な発言で有名な池田信夫氏が原発を含むエネルギー政策についての自説をまとめた本。 今回の事故ではこの程度で済んだけど、「安全神話」が崩れた今となっては次の事故が発生する可能性があることは否めず、そのときにはどういう甚大な影響があるか分からない、というのが反原発の主張だろう。著者は、福島によって原発の「安全神話」が崩壊したことは自明だが、一方メルトダウンを起こすと数多くの人命と健康が失われて取り返しのつかないことになるのだという「危険神話」も同時に崩壊した、と主張する。この「危険神話」が崩壊したという認識の上で改めて原発の是非を考えないといけないと問題提起をしている。もっと端的に言うと、原発廃止なんて言ってるやつは論理的に物事が考えられない馬鹿だと言っている本である(たぶん)。 特に微量放射線の影響を過大視してしまっているのは、原発周辺住民のためにもならず、逆に苦しめる結果になっていると言う。LNT仮説(100ミリシーベルト以下の)に対する評価が分かれ道でもあるのだが、微量放射線が健康に影響があったと証明された研究結果はなく、あっても統計的に有意に検知できないレベルのものであるとされている。微量放射線の影響と一度に多量に浴びる放射線の人体に与える影響の違いを、45℃の湯と熱湯の例にたとえたのは、比喩でありそのまま当てはめて正しいとするのは危険だが分かりやすい例えだ。慎重な判断が求められる件ではあるが、問題は原発や放射能のリスクを喧伝することが、必ずしも福島の現地の人たちのメリットになっていないどころか、不利益になっているのではないかという点だと思われる。 エネルギー政策については、3つのE(Energy、Economy、Environment)のバランスを最適化する連立方程式の解を求めることであり、「絶対の安全」などというありもしないものを求めるべきではないのだとする。原子力だけでなく、火力も水力も太陽光もすべて経済と生命のトレードオフで動いている。火力発電の方が危険度が高いため、原発を止めることによって、却って人命が失われるとの主張は、藤沢数希の『「反原発」の不都合な真実』の内容と同じだ。不経済な自然エネルギーの傾倒とともに日本経済への悪影響を懸念している。原発再開の発電単価を考える場合、サンクコストについて考慮することが必要となる。止めたからといって今まで投資したお金が戻ってくることはないのだ。 ---- 藤沢数希氏は先に挙げた『「反原発」の不都合な真実』の中で原発の問題は「倫理の問題」だと言ったが、池田氏に言わせるとNIMBY症候群(Not In My Back-Yard)の問題なのだという。身も蓋もない。 池田氏は仮想敵を作って論破している点があるのは否めず、反原発にもそれほど極端なものは多数派ではないように思える。政府も極端な反原発から経済環境も考慮した中庸の政策に移行しようとしているように思える。地震大国である日本に原発は向いていないという面もあるが、一方多くの知見と省察を得ることとなったのだから、原発も含めたエネルギーポートフォリオを検討し、将来に向けた原子力利用の研究開発も続けるというのが合理的な態度なのかもしれない。
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(2012/3/6読了)基本的には「池田信夫ブログ」に書いてあることを本にまとめたものなので、氏のブログ読者であれば馴染みの言説であるが、私はやっぱり本が好きなのでこうしてまとめて読めるのはいい。個人的に印象に残っているのは「メディアにとってはハザードが大きく頻度の小さいものほど...
(2012/3/6読了)基本的には「池田信夫ブログ」に書いてあることを本にまとめたものなので、氏のブログ読者であれば馴染みの言説であるが、私はやっぱり本が好きなのでこうしてまとめて読めるのはいい。個人的に印象に残っているのは「メディアにとってはハザードが大きく頻度の小さいものほどニュースになりやすいので、人々は珍しいリスクを過大評価する」(P119)という点。殺人事件とか飛行機事故と同じ構図で、実際はそこら辺で(自動車の)交通事故に遭う確率のほうがよほど高いのに、交通事故は毎日起きるので過小評価されている。くわばらくわばら。
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