自然法論 の商品レビュー
2つの巻で構成されている。第1巻は、自然法の本質が論じられており、第2巻では、自然法に基づきながら王位継承権がだれにあるかを確定しようとしている。当時の実践的な問題に対してあくまでも自然法という原理を適用して結論を示した実践的かつ理論的な著作。聖書とともに、トマス・アクィナスの議...
2つの巻で構成されている。第1巻は、自然法の本質が論じられており、第2巻では、自然法に基づきながら王位継承権がだれにあるかを確定しようとしている。当時の実践的な問題に対してあくまでも自然法という原理を適用して結論を示した実践的かつ理論的な著作。聖書とともに、トマス・アクィナスの議論への頻繁な言及が見られる。独自の政体分類が興味深い。
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『イングランド法の礼賛について』で知られ、イングランドのコモン・ローヤーたちに多大な影響を与えてきたジョン・フォーテスキューの著作の翻訳。『自然法論』という大仰なタイトルはついているが、実際には、女子による、あるいは女系による王位継承が自然法に反していることを論証するために編まれ...
『イングランド法の礼賛について』で知られ、イングランドのコモン・ローヤーたちに多大な影響を与えてきたジョン・フォーテスキューの著作の翻訳。『自然法論』という大仰なタイトルはついているが、実際には、女子による、あるいは女系による王位継承が自然法に反していることを論証するために編まれた一冊である。そのため、全体を通して、聖書解釈によって女性が支配権を持つに相応しくない存在であることがこれでもかと強調される。もっとも、後にコモン・ローヤーたちに盛んに援用された王的・政治的支配の概念はすでに本書で登場している。これについては様々な解釈が存在するようだが、国王の立法も人民の同意がなければ完全とはいえないという考え方は、制限君主政論に通じる考え方であることは確かである。
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