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なぜメルケルは「転向」したのか の商品レビュー

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2013/05/08

メルケルの特徴は変わり身の速さ。風向きの変化を嗅ぎ取ってチャンスをつかむことに長けている。 ドイツの反原発は挙国一致である。 ドイツ人は地震が多い日本での震災と津波による原発事故の危険性が十分に配慮されていなかったことを驚いている。 政府が保証したから、電力業界も脱原発を容認...

メルケルの特徴は変わり身の速さ。風向きの変化を嗅ぎ取ってチャンスをつかむことに長けている。 ドイツの反原発は挙国一致である。 ドイツ人は地震が多い日本での震災と津波による原発事故の危険性が十分に配慮されていなかったことを驚いている。 政府が保証したから、電力業界も脱原発を容認した。

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2013/02/15

当初は原子力発電の推進派であったドイツのメルケル首相が、いかに福島原発の事故があった後とはいえ、なぜあれほどの短期間で原発全廃へと大転換したのか、または、できたのか。本書は、その経緯と背景を、ドイツ在住21年のジャーナリストがまとめたものである。 脱原発に大きな役割を果たした「緑...

当初は原子力発電の推進派であったドイツのメルケル首相が、いかに福島原発の事故があった後とはいえ、なぜあれほどの短期間で原発全廃へと大転換したのか、または、できたのか。本書は、その経緯と背景を、ドイツ在住21年のジャーナリストがまとめたものである。 脱原発に大きな役割を果たした「緑の党」のユニークな内容や、今日のドイツのアイデンティティのバックボーン、政治形態の違い、リスクに対する考え方がまるで異なるドイツ国民の特性など、興味深い内容が、大変わかりやすくまとめられている。エネルギー問題を考えるうえで、ドイツの存在は非常に大きい。14級で38字詰めと、文字も大きく、読みやすい構成なので、時間のある方には一読をお奨め。

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2012/08/22

福島の問題があってからドイツは早々に原発を廃止できたのはなぜだろうと思って、読んでみた。そもそも、ドイツで原発について過去何十年間も議論されてきて、原発に対してこんなに神経質だったということを知らなかった。 福島の問題への外人の過剰反応というのは、主にドイツのことを言ってたのかな...

福島の問題があってからドイツは早々に原発を廃止できたのはなぜだろうと思って、読んでみた。そもそも、ドイツで原発について過去何十年間も議論されてきて、原発に対してこんなに神経質だったということを知らなかった。 福島の問題への外人の過剰反応というのは、主にドイツのことを言ってたのかな?とも思った。 でも、個人的には原発廃止を決めたドイツの選択は正しいと思うので、うらやましく感じた。 気になった点は下記。 ・金融危機と原子炉事故の共通点。どっちも企業はビジネスに失敗して巨大な損失を産んでも、国家が面倒を見てくれる。モラルハザード。 ・ドイツ人がリスクに敏感な理由。今日のドイツで実際の脅威が少ないことの裏返し。ヴェーバー・フェヒナーの法則。人間が刺激の変化を感じ始める水準(閾値)は、すでに存在している刺激の一定の割合。

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2012/06/28

ドイツ人の悲観主義、リスクへのこだわりと敏感さが、原子力のリスクに対する見方を福島事故が根本的に変えた。日本人は、「気を見て森を見ない」民族なのか。

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2012/05/02

ドイツのメルケル首相・・・物理学者だったんだ。 以下、本文より ドイツが原発全廃を決定した背景には「原子力のリスクは安全に制御できない」というドイツ人独特の悲観主義がある。 ドイツ人が悲観的なのは、戦争など過去の災厄の記憶が人々の潜在意識の中に沈殿しているため、とする説が...

ドイツのメルケル首相・・・物理学者だったんだ。 以下、本文より ドイツが原発全廃を決定した背景には「原子力のリスクは安全に制御できない」というドイツ人独特の悲観主義がある。 ドイツ人が悲観的なのは、戦争など過去の災厄の記憶が人々の潜在意識の中に沈殿しているため、とする説がある。また、リスクに敏感な点については、今のドイツは脅威が少ないため、逆に些細なことで不安に陥るとの見方もある。 ドイツ人は、リスクを見つけた場合、最悪の事態を想定し、リスクを最小限にするために積極的に行動する。

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2012/04/01

■原子力 1.技術者の想定能力に限界があるのだから、多くの市民が被害を受ける可能性がある原子力発電所のリスク評価には、技術的な側面だけでなく、社会的な側面にも注目すべきだ。 2.「ウェーバー・フェヒナーの法則」:危険や脅威が少ない環境での豊かな暮らしをしているために、ささいなこと...

■原子力 1.技術者の想定能力に限界があるのだから、多くの市民が被害を受ける可能性がある原子力発電所のリスク評価には、技術的な側面だけでなく、社会的な側面にも注目すべきだ。 2.「ウェーバー・フェヒナーの法則」:危険や脅威が少ない環境での豊かな暮らしをしているために、ささいなことで不安に陥りやすくなる。

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2012/03/20

メルケル首相の政治的バックグランド、政治への姿勢などもよく描かれているのだけど、ドイツ人的思考の考察が大変興味深かった。 原発関係の本を何冊か読んでいるけど、国内の視点の本がほどんどだったので、海外からの視点という意味でも、興味深い本だった。

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2012/03/19

本書は福島第一原子力発電所事故発生を受け、素早く脱原発政策を選択したドイツの内情を書いたノンフィクションです。 著者の熊谷氏はNHKを退職後、1990年より20年超に渡ってドイツに滞在経験のあるフリージャーナリスト。 本書は、この長年に渡るドイツ滞在により深められたドイツ人やド...

本書は福島第一原子力発電所事故発生を受け、素早く脱原発政策を選択したドイツの内情を書いたノンフィクションです。 著者の熊谷氏はNHKを退職後、1990年より20年超に渡ってドイツに滞在経験のあるフリージャーナリスト。 本書は、この長年に渡るドイツ滞在により深められたドイツ人やドイツ社会に対する著者の理解によって読み応えのある内容となっています。 ドイツと言えば、過去との向き合い方や環境保護など日本でも自国との比較対象に度々用いられ、かつては「ドイツは~だが、それに引き換え日本では~・・・・」と言った論調もよく目にしました。 本書の内容もその様なものかと先入観をお持ちの方もおられるかも知れません。 しかし、著者の主張を述べた終盤を除く本書の大部分は「原子力発電と言う一側面を通して見る、ドイツの歴史とドイツ人の特質」の解説となっています。 では気になった箇所を以下に抜粋。 ・本書が解説するドイツ反原発運動の歴史 1970年代、ドイツはライン川沿いに「原発銀座」を計画するも、原発から出る蒸気や排水による水温変化のワイン収穫への影響を懸念する農業従事者の反対運動が起きる。 これが組織化され全国規模の反原発活動になり、反原発APO(議会外反対運動や学生運動)が展開される。 これに対する、左翼テロリストが引き起こしたテロ行為に影響を受けた政権側による(時にはデモ参加予定者に自動小銃を突きつけ列車から引きずり下ろす事までもやった)反原発運動の封じ込め。 この政権側の強硬姿勢により、反原発運動に民主主義を追求するイデオロギー的な側面が加わり、その結果、ドイツでは原発推進派と反対派に別れ、長期間に渡る激しいイデオロギー対立が引き起こされた。 そして、環境保護政党・緑の党の結成とこの政党の政権参加に伴う電力大手との脱原子力合意。 しかし、その後、地球温暖化を懸念し始めたドイツ社会では反原発運動はかつての勢いを失っていった。 福島第一原子力発電所事故発生までは。 ・ドイツ人の特質 ドイツ人はリスクや変化に対して極めて否定的。 ドイツの新聞では環境問題や健康問題など、様々なリスクをテーマにした記事が他国の新聞よりも圧倒的に多い。 #「アスベスト」「狂牛病」「ダイオキシン」「豚インフルエンザ」という言葉が出てくる頻度がフランスの新聞の4倍近くになったケースもある。 このリスクを極端に恐れ、また恐れるだけでなく実際にリスクに対して徹底的な対策を取るドイツ人の特質は、ペスト大流行、30年戦争、第一次大戦後のハイパーインフレ、第2次大戦の敗戦等の歴史によってもたらされたものではないかと意見を紹介。 日本でドイツの脱原発の話題が取り上げられると、ドイツがフランスなどの周辺国から原発によって発電された電力を購入している点が指摘されます。 本書でもこの点に関してドイツ人が何ら結論を出せていないことを指摘しています。 しかし、同時に著者は、仕事や効率、利益などよりも健康を最優先にするドイツ人の徹底した姿勢を評価し、「木(利益、効率)を見て森(安全、健康)を見ない」日本の姿勢を改めるべきだと主張していました。 本書によれば、日本人は「自分たちは細部に気を配る」と自負するドイツ人をも驚かせるほど、徹底的に細部にこだわる傾向があるとのこと。 日本人は細部にこだわるあまり、"森"をみる余力を失っているのかも知れない。 この様な事を考えながら読了。

Posted byブクログ