マンゾーニ家の人々(下) の商品レビュー
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※このレビューにはネタバレを含みます
『いいなづけ』で知られるイタリアの国民的作家マンゾーニの家族の生涯を残された書簡などを使って再構成した、ちょっと風変わりな作品。それにしても19世紀から20世紀の初めに生きるとは、こんなにも大変なことなのか。最低レベルの継母(著者は淡々と描いているが性根の悪いエゴイストそのもの)に遭遇したマンゾーニ(家庭内では我関せずの無責任な傍観者)の子供たちが哀れでならない。下の息子2人はごくつぶしのろくでなしになり、娘たちの多くは早逝する。薬代や医者代がかさむことを気にし、義兄に経済的に負担をかけ続ける後ろめたさに苦悩して父に哀訴し続けた手紙を書いた末娘の、会いに来てほしいという最期の願いさえ結果的に退けたマンゾーニという男は、書いた本は立派かもしれないが、唾棄すべきクソ野郎であると思う。
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