蜜情の宿 の商品レビュー
デビュー作を踏襲した「迫られ系」な3作目
基本構成はデビュー作『蜜会-濡れる未亡人』と同じな3作目。登場人物の設定や関係性も似ている。無碍に断ることもできない2人の男に迫られ続けるヒロインの物語である。ただ、今回は失踪中の夫を気遣う人妻なため、憂いに暮れつつ、それでいて熟れた体を持て余しているところをつけ込まれる背徳感が...
基本構成はデビュー作『蜜会-濡れる未亡人』と同じな3作目。登場人物の設定や関係性も似ている。無碍に断ることもできない2人の男に迫られ続けるヒロインの物語である。ただ、今回は失踪中の夫を気遣う人妻なため、憂いに暮れつつ、それでいて熟れた体を持て余しているところをつけ込まれる背徳感が増している。何とも言えない密戯の淫靡さがあり、実に素敵な表紙カバーイラストも艶っぽく貢献している。 鄙びた老舗旅館の窮地を救ったお得意様の紳士と義理の弟から交互に、そして最後は同じ日の昼と夜に迫られる全5章立てにより男の配分はほぼイーブン。肉欲のみではなく深い愛情も示す迫りで若女将たる人妻を悩ませる。もし、夫が失踪したまま見つからなければ……という選択肢が常によぎることから発生する心の揺れが人妻の抵抗と諦念とに繋がり、大変興奮度の高い官能描写のベースにもなっている。感度が高過ぎて押しにも弱過ぎる点は官能描写のヒロインなのでご愛嬌としたい。 オンナとして開花させられ、終盤では双方にほぼ陥落させられるも理性と肉欲の狭間で常に艶かしく動揺し、悩みに悩む展開の果てには割と呆気ない結末を迎えるため、見方を変えればなかなかの魔女っぷりとも写り、確かにサブタイトルのような「ふしだら」との側面も無いではないが、だからこそ発せられる魅惑の艶が本作の官能的な肝であり、また、然るべき結末であれば瞬時に解決する話でもあるので、人妻としての心の矜持はギリギリで保たれた……と言えるのかな? 官能小説としては凌辱作品の構成と言えるも無慈悲で苛烈な強引さは無く、「いやっ、ダメっ」と言いながらも昂ぶる肉欲に抗えず押し切られてしまう官能要素が全編に満ちた作品としておすすめする。
DSK
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