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2014/05/21
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※このレビューにはネタバレを含みます

『存在の耐えられない軽さ』『不滅』などのフィクション作品でも、クンデラは独自の社会時評や芸術論を展開しますが、そんな彼の評論集が面白くないわけがない。 画家のフランシス・ベーコンにはじまり、ドストエフスキー、フィリップ・ロス、ラブレーなどの作家論を展開します。これらの評論に一貫して感じ取られるのは『すでに芸術の時代は終わってしまった』というクンデラのノスタルジーです。 正直、古典芸術を至上とする俗物紳士のように見えなくもありませんが(すいません!)、映画文化を白痴化の代理人と断罪し、映画誕生百周年に寄せて『それはわたしの祭りではない』と突っぱねる態度にはしびれました。やっぱり、このじいさんカッコいいわ~。 個人的に好きなのはドストエフスキー論の、『喜劇の喜劇的な不在』。TVに映る、喜劇的でないにもかかわらず笑い転げる大衆に、クンデラはお得意の逆説的な皮肉をぶつけて冷笑を浴びせています。しかしまた、そんな時代に生きざるを得ない彼の姿に、一抹の寂しさを感じました。 他の評論集にも興味が湧く一冊でした。

Posted byブクログ