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エジプト革命 の商品レビュー

3.7

10件のお客様レビュー

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2023/09/01

平凡社新書 622 エジプト革命 アラブ世界変動の行方 著:長沢 栄治 難書 けっこう読むのが大変だった。何回か目を通しました。 用語が統一されていなかったり、大きなテーマでの区分ではなく、総花的な解説であったり、時代を行ったり来たりで大変でした。 巻末にある年表に書き込み...

平凡社新書 622 エジプト革命 アラブ世界変動の行方 著:長沢 栄治 難書 けっこう読むのが大変だった。何回か目を通しました。 用語が統一されていなかったり、大きなテーマでの区分ではなく、総花的な解説であったり、時代を行ったり来たりで大変でした。 巻末にある年表に書き込みをしながら、イベントをおった。 しかも、エジプトというか、中東に絡むいくつかのプロットがあって、一筋縄では、理解が追い付かないのである。  当時の首相、大統領  エジプトの国政  干渉してくる大国(特に、アメリカの場合はその大統領  イスラエルと、イスラム周辺国の情勢、影響 ①オーラビ革命以前 (~ 1881)  フランス・イギリスの植民時代 ②オーラビ革命 (1881 ~1919)  イギリス領エジプトの時代 ③7月革命(1919~1952)  エジプト王国 ナセルの7月革命まで ④修正革命(1952~1971)  アラブ連合共和国 ナセルの時代 ⑤2011年革命(1971~2011)  エジプトアラブ共和国 サダトとムバラクの時代 ⑥2011年以降(2011~2014、2014~現在)  エジプト革命以後 第1章は、①から⑥について概説と各時代の流れを総花的に 第2章は、③、④、⑤における内政、なぜ、革命にいたったのか 第3章は、⑤、⑥の解説 といった状況です。 本書の範囲外ですが、2013年クーデターがおきて、親米のアッ=シーシー政権に移行されています。 ひとことでいうなら、アラブ対イスラエルような、二元的な世界ではなく、地政学をふくめて、利害が複雑に絡み合う 中東における、親米国の1つの変動といったところでしょうか。 ちょっとむずかしすぎました。 目次 はじめに 第1章 革命の系譜  結束する声、言葉の力  革命か、騒乱か  起点としての一九六八年  冬の時代から革命の春へ 第2章 革命の背景  体制は打倒されたのか  革命への期待  抑圧と腐敗  腐敗のピラミッド  腐敗の歴史  抑圧の起源 第3章 革命の行方  ナセルの七月革命の再検討  軍は革命を管理する  ムスリム同胞団の迷い  憲法改正の動き―第二共和制への道  エジプト革命とパレスチナ問題 あとがき エジプトとアラブ・中東の近代史と革命 ISBN:9784582856224 出版社:平凡社 判型:新書 ページ数:264ページ 定価:820円(本体) 発行年月日:2012年01月 発売日:2012年01月13日 初版第1刷

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2018/05/26

◆2011年「エジプト版アラブの春」を、世俗主義・市民運動の観点から叙述。この貴重な記録において、エジプト現代史の画期。すなわち、52年革命や、第三次中東戦争後の68年反政府運動との関連性にも言及◆ 2012年刊行。 著者は東京大学東洋文化研究所教授(近代エジプト社会研究史)。...

◆2011年「エジプト版アラブの春」を、世俗主義・市民運動の観点から叙述。この貴重な記録において、エジプト現代史の画期。すなわち、52年革命や、第三次中東戦争後の68年反政府運動との関連性にも言及◆ 2012年刊行。 著者は東京大学東洋文化研究所教授(近代エジプト社会研究史)。  タイトルどおり、2011年エジプト革命(いわゆるエジプト版アラブの春)を素描する書である。  本書の特徴は、2011年エジプト革命に、①1952年革命(自由同胞団によるクーデター)との連続性を見つつ、さらに、②1967年第三次中東戦争敗北と、そこから生まれた1968年の反政府・改革運動との連関性も強く意識して叙述している点である。  加えて、2011年革命における、現代、イスラムの世俗主義・市民運動の意義を強調し、イスラム色の極めて薄い様を強調する点も同様か(もっとも信憑性を判断する材料はこちらにはなく、不明である)。  正直言うと、イスラム世俗主義とこれに対抗する原理主義との相克関係がいまいち明瞭にならず、その党派性も、かなりごちゃごちゃして書かれており、理解するのは容易ではない(勿論、こちらに基礎知識が少ないせいもある)。  世俗主義と言っても、欧米のそれと同じだとも見ておらず、世俗主義の具体的内実、イスラム教義との整合性やこれを無視する程度にさほど言及されないところも、内容の掴みにくさに繋がっている。  さらにいうと、2011年革命が、世俗的かつ市民運動という観点からみて、エジプト現代史を彩る52年革命や68年反政府運動と連関性があるといっても、各々において具体的な行動には違いがあり、アラブ世界の他、冷戦構造、イスラエルとの関係など情勢も、夫々の時代における違いがあって、その連関性の説明が説得力あるものとして成功しているかはなかなか難しい。  そして、ここでますます理解できないのが、イスラム圏エジプトにおける世俗主義・市民運動の成果の過剰な思い入れである。過大評価と言ってもいい。  元より、エジプト現代史において、イスラム色を脱色し、世俗主義・民衆運動・大衆運動といった側面から、各時代の革命運動とその挫折を論じた著作は多くない。  イスラム教の観点、あるいは政治権力闘争の側面を強調した書が圧倒的に多いからだ。  そういう意味では、エジプト現代史における革命・社会運動に関する裏面、逆方向からの照射、下からの分析を成し遂げたものとして貴重な一書、一読に値する書であることは確かである。  ところで、本書には、世俗主義・市民運動の立場からアラブやエジプトにおける種々の革命や社会運動に関する研究書が幾つも開陳・紹介される。  ところが、それらの邦訳如何は不明である。 正直、邦訳書なしに、これらの成果や到達点、その是非を理解することは難しい。いや、市民運動の如き状況があることすら理解されにくい。  こういう書(余り売れないかもしれないが)の地道な邦訳活動こそが、相互理解・認識の一里塚ではないかと考えさせられるところである(現地に長くいる外交官ないしその経験者が実行してくれたらイイのになぁと思うんだが…)。

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2015/12/16
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幼いころからテレビ番組で頻繁にみてきたエジプト(主に古代遺跡関連)テレビカメラの向こうには、これでもかというほどの腐敗と抑圧があった!ホントに!? 本書によれば、大統領とその親族、取り巻きの政治家、政商が蓄財やりたい放題。一般マスメディアは政府が掌握しているから、不正をすっぱぬけない。市民はそういう腐敗を噂でしか知ることができない。マスコミは下手なことかいたらしょっぴかれる。そして張り巡らされた警察組織のおそろしさ。 このような体制のもとで、SNSのもたらした役割は大きかったんですね。投稿動画は警察の暴力を隠さない。 本書は王政廃止の7月革命と今回の革命を比較したり、抑圧と腐敗の要因をサダト政権やナセルの築いた体制に探して現在への影響を考察したりと、現在と過去を高速で見比べている感じがします。ふと集中力がとぎれると、この文章はいったいどの時代のことなんだ…?とよくわからなくなりました。そもそも私に現代エジプト社会の知識がほとんどないのがよくなかったです。同胞団のこととか、中東戦争のことなどをもっと知ったうえで読んだほうがよかったなあ、と思いました。 この本で紹介されたイランの研究者の、「アメリカはかつてイランで民主化を進めようとしたモサッデグ政権を、CIAの工作で崩壊させておきながら、いまさらどのツラさげて上から民主化すすめようとしとんねん。おまえらにそんな資格ねえわ!」という内容の主張は覚えておこうとおもいました。

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2012/12/31
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アラビア語では運動を表す語がいくつかあり、サウラが「指導され、合意された特定の目的を目指す広範囲で激しい運動であり、馴染みのあるインティファーダは「時間的にも空間的にも制限されたサウラ」であると定義される。しかも、パレスチナの人々がインティファーダと自分たちの活動を称したのは、中東の独裁者が起こしたクーデターをサウラと名乗っていたことへの反発から来ているというのは面白かった。 エジプトの革命では、「腐敗」と「抑圧」が2本の柱となって、起こったとしているが、今の日本では「抑圧」はあまり感じられないが、「腐敗」は相当程度に進んでいると思うのは私だけだろうか。目立ってメディアが報道しようとしないだけであって、エジプトまではいかないが、相当ひどいものであろうと感じる。 全体を通しては、歴史的背景や過去の革命の説明だけで、あまり今回の革命についての説明がなかった。また、今回の革命の特色であろうfacebookについての記述がほとんどなかったのが残念だった。

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2012/09/23

 親切な本ではないなあ、というのが読後感です。そう感じた理由として、説明がほとんどなく話が進む、という点があります。  たとえば2011年の革命発生当時のエジプトの政治体制がどんなもので、ムバラクがどのようにして権力を握り維持していたのか、など丁寧な解説は全くありません。読者が知...

 親切な本ではないなあ、というのが読後感です。そう感じた理由として、説明がほとんどなく話が進む、という点があります。  たとえば2011年の革命発生当時のエジプトの政治体制がどんなもので、ムバラクがどのようにして権力を握り維持していたのか、など丁寧な解説は全くありません。読者が知っている前提で、話が進みます。また本書は、エジプト政治におけるナセルの影響を指摘していますが、ナセルの政治はどんなものだったのか(たとえば第二次中東戦争の背景と結果、自由将校団の役割など)丁寧な説明はありません。ところどころ詩的な表現もあって、読みやすい文章とは言えません。そういう点も含め、本書は「論考」といっていいでしょう。そしてその論考が正鵠を得ているのか、私には判断する力はありません。  とりあえず言えることは、新書という形を取りながらも、中東情勢やエジプトの近現代史にかなり詳しい人でないと、理解できない内容である、ということです。新書ということで気軽に手に取っていい本ではないということを、このレビューを読んで購入を検討されている方に伝えたいと思います。

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2012/06/09

エジプト革命に関する、最新の著作の一つ。 著者は日本中東学会の会長でもあり、エジプトの人脈も豊富で、様々な現地の活動を紹介しつつ、1952年の7月革命との比較を行っている。 歴史的な流れの中で、腐敗と抑圧がどのように生まれてきたのか。そして今後それらをいかに抑制しつつ社会を構築す...

エジプト革命に関する、最新の著作の一つ。 著者は日本中東学会の会長でもあり、エジプトの人脈も豊富で、様々な現地の活動を紹介しつつ、1952年の7月革命との比較を行っている。 歴史的な流れの中で、腐敗と抑圧がどのように生まれてきたのか。そして今後それらをいかに抑制しつつ社会を構築するのかというのが、大きな問題だ。

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2012/04/07
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エジプト革命。 活動の中心になったのは、若者。 若者はFacebookを介してデモを行ったそうな。 今までは、そんなことは起こり得なかった。 Facebookの力(インターネットの力?)ってすごいですね。

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2012/03/18

(2012.03.17読了)(2012.02.16借入) 【アラブの春・その⑪】 2011年の1月から2月にかけてのエジプト革命についての本です。 1952年の7月革命の以前のことからナセル、サダト、ムバーラク、そしてムバーラク後まで、記述しているので、エジプトについてよくご存じ...

(2012.03.17読了)(2012.02.16借入) 【アラブの春・その⑪】 2011年の1月から2月にかけてのエジプト革命についての本です。 1952年の7月革命の以前のことからナセル、サダト、ムバーラク、そしてムバーラク後まで、記述しているので、エジプトについてよくご存じのようです。 難しい言葉や知らない概念などそんなに書いてあるわけでもないのに、著者との相性が悪いらしくて読み進むのに苦戦しました。250頁ぐらいの新書は二日で大体読めるはずが5日かかってしまいました。読み終わったけど、ほとんど何も記憶にありません。 たまにはこんなこともあります。 目次 はじめに 第一章、革命の系譜 1.結束する声、言葉の力 2.革命か、騒乱か 3.起点としての1968年 4.冬の時代から革命の春へ 第二章、革命の背景 1.体制は打倒されたのか 2.革命への期待 3.抑圧と腐敗 4.腐敗のピラミッド 5.腐敗の歴史、抑圧の起源 第三章、革命の行方 1.ナセルの7月革命の再検討 2.軍は革命を管理する 3.ムスリム同胞団の迷い 4.憲法改正の動き―第二共和制への道 5.エジプト革命とパレスチナ問題 あとがき エジプトとアラブ・中東の近代史と革命 ●この本(11頁) 本書は、2011年1月25日革命を近代エジプト、及びアラブ世界の歴史の中に位置づけて解釈しようとする一つの試みである。 2011年1月25日革命の起源と背景、そしてその途中経過を示してみたいというのが、本書の狙いである。 ●バルタギー(74頁) デモへの弾圧の事例として最悪なものの一つに女性活動家への性的脅迫がある。あるデモでは、与党や警察の手先であるバルタギー(ならず者)たちが、参加した女性たちの衣服を切り裂いたり剥ぎ取ったりした。だが驚いたことに、翌日の政府系の新聞は、女性活動家が服を脱いで性的挑発をしたと報道したのである。 ●腐敗(108頁) 末端の交通警察によるユスリやタカリから始まり、腐敗は内務省の上級幹部にまで及んだ。腐敗の実態の一部は、今回の革命で明らかになった。賄賂が将軍クラス60人で山分けされていたとか、宗教的権威のアズハル学院からも賄賂を取っていたなどである。また、内務省幹部の息子の結婚披露宴を、数百万ポンドもかかる超高級ホテルで開き、各業者から金を出させるなどということは、当たり前のように行われていた。 ●抑圧と腐敗(130頁) 革命の背景には、旧体制における抑圧と腐敗という二つの軸になる問題があった。革命が目指すのは、この二つのズルム(不正)が結びついた体制の改革である。 ●エジプト現代史の区分(132頁) エジプト現代史は、三つの時期に区分される。第一は1952年7月革命の前の王制時代、第二は7月革命後のナセルの時代、そして三番目はサダトとムバーラクの時代である。 ●ムバーラク(133頁) ムバーラクは、10月戦争(1973年第4次中東戦争)の空軍の英雄という触れ込みで、さわやかに登場した。サダト大統領は、対イスラエル戦争「勝利」をもたらした空軍司令官、ムバーラクを副大統領に抜擢した。彼が選ばれた理由には、真面目で誠実な人柄もあったろう。しかし、陸軍ではなく空軍出身であり、軍を背景にして大統領の座を脅かすことはないという計算が、サダト大統領にはあったに違いない。 ●イスラーム国教規定(220頁) 問題となっているのは、1980年改正のイスラーム法を国法の唯一の法源とする条文であり、コプト教徒や世俗主義者が強く改正を求めている。 ●対イスラエル政策(237頁) ガザ封鎖のエジプトの加担政策の見直し、エジプトとの境界にあるラファハ検問所の部分開放の決定である。「ガザ地区の封鎖は恥ずべき行いであった」 ☆関連図書(既読) 「イスラム過激原理主義」藤原和彦著、中公新書、2001.10.25 「テロリストの軌跡」朝日新聞アタ取材班、草思社、2002.04.25 「原理主義の潮流」横田貴之著、山川出版社、2009.09.30 「現地発エジプト革命」川上泰徳著、岩波ブックレット、2011.05.10 「中東民衆革命の真実-エジプト現地レポート-」田原牧著、集英社新書、2011.07.20 「グローバル化とイスラム」八木久美子著、世界思想社、2011.09.30 「エジプト岐路に立つ大国」ターレク・オスマーン著・久保儀明訳、青土社、2011.12.20 (2012年3月18日・記)

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2012/03/03

今回のアラブの革命で最も有名なスローガンは、民衆は体制の打倒を望むであった。 1月25日革命ということばが根付いている。 1月25日は若者たちがタハリール広場に集まって決起し、抗議デモを開始した日。 かつてナセルも庶民の出身ということで陸軍士官学校の入学を拒否されたことがある。...

今回のアラブの革命で最も有名なスローガンは、民衆は体制の打倒を望むであった。 1月25日革命ということばが根付いている。 1月25日は若者たちがタハリール広場に集まって決起し、抗議デモを開始した日。 かつてナセルも庶民の出身ということで陸軍士官学校の入学を拒否されたことがある。 革命の背景には旧体制における抑圧と腐敗があった。 ムバラク夫人は、文化大臣のご機嫌取りのせいでエジプトの文庫本には顔写真が掲載されていた。困ったものだ。

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2012/01/22

 職場の本屋の平積みからタイトルで購入。  アラブの革命は注意していたいから。  長沢先生は、東大の教授でこのご専門らしく、アラビア語も堪能。アラビア語のうんちくも多く、また、アラビア語でたぶんかかれた現地の文献の引用も多い。  しかし、今のエジプトの現状を知ろうとしたら、...

 職場の本屋の平積みからタイトルで購入。  アラブの革命は注意していたいから。  長沢先生は、東大の教授でこのご専門らしく、アラビア語も堪能。アラビア語のうんちくも多く、また、アラビア語でたぶんかかれた現地の文献の引用も多い。  しかし、今のエジプトの現状を知ろうとしたら、やはり、関係者の現場でのインタビューではないか。 その意味では、ちょっと、分析があまいような気がする。根拠がまったくないが、読後の印象。 (1)若者、民衆の立場を高く評価しているが、もしかしたら、軍部がムバラクを見限っただけで、軍部が中心なのは何もかわっていないのではないか。 (2)ムスリム同胞団やイスラム主義者が果たして、軍部と協調し続けるという前提で大丈夫か。 (3)勧善懲悪ではなく、冷静に考えれば、ガザを一部開放したエジプト政府と、ファマスとファタハが合意し、さらに、イランの核開発がすすんでいる時に、イスラエルがどういう対応をとるかの視点が重要ではないか。  専門書の紹介という意味もあるようなので、最終的な判断は、専門書を読んでからにしたいが、もっと実地に即した情報が必要だと強く感じだ。

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